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Summer in London. 連載コラム : Rintaro Sekizuka #4January 28, 2025
昨年の夏のフィルムが現像から上がってきました。
現像は年に数回、ロンドンにいる友人のKaiにお願いしており、半年かけて溜めたフィルムをまとめて現像してもらっています。
彼は元々ロンドンのお店の常連で、ニコンF3をいつも首からぶら下げていて、お店の写真を撮ってくれるのでした。最初に来た時は確か大学生になったばかりだったと思います。
私も高校生の頃から写真を撮っていますが、一時期のめりこみすぎて逆に見失い、それからは写真とは距離をとっていました。
興味を失ったわけではないのですが、距離感がつかめなくなった気がして、それまで毎日持ち歩いていたカメラを持ち歩かなくなり、しばらくの間、なにも撮らないようになっていました。オンオフはありながらも、時々カメラをポケットに入れ、撮りきったロールは箱に溜めていました。「現像はしなくていいや」となぜか思っていたのです。
ある時、Kaiが日本に来るというので、家に招き、写真の話をしました。いつもロンドンから来る友人は大体レコードや音楽の話ばかりするので、写真の話をするのが新鮮でした。
話が深くなり、今まで撮ってきた写真を見せると、最近の写真がないことを彼から尋ねられたので理由を話しました。それを聞いた彼は「ラボで働いているからいつでも現像するよ」と言ってくれたのですが、ありがたいけどまだ大丈夫と断りました。けれど、その後よく考えて、次の渡英の際に溜まっていたフィルムを20本ほど持っていき、そこから彼とのやり取りが始まりました。
溜まっていたフイルムには、10年以上前の大学の卒業旅行でカッパドキアに行った時や、久しく会っていない友人などが映っていて、タイムトリップした感覚になるような写真がたくさんありました。
それからは、半年ほどのスパンで撮り溜めたフィルムをロンドンに持っていき、彼のラボで現像して、コンタクトシートを見ながら現像した写真についてロンドンのお店で一晩かけて話すことが毎回楽しみの一つになっています。ロンドンで彼と出会ってから3年ほど経ち、最初に会った時の彼は大学生でしたが、今ではラボでマネージャーをやっているようです。
月日が経つのが早いことも実感しながら、ロンドンの友人のおかげで自分と写真のいい距離感の塩梅を見つけたように思います。
Kaiに感謝を込めて、ロンドンに行くたびに増えていく友人達の写真を一部貼ります。
edit : Sayuri Otobe