MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/中嶋朋子 vol.3October 18, 2019
October.18 – October.24, 2019
Saturday Morning

裸足の足先だけで踊る。離れて立つ男女2人の足が、ピアノの音と共に、近づき、女の小さな足が、男の力強く若々しい足先にフワリと乗る。2人はそのまま、踊り続ける。男の足先は愛おしそうに、女の小さな足を乗せ、落とさないように、ステップを踏む。ゆったりと。
舞台でのワンシーン。足先だけの、美しすぎるラブシーン。観客には、マリア・ジョアン・ピリスのピアノの旋律と、まるで映画のクローズアップのように、男女2人の足先だけが眩ゆい光の中、浮かび上がる。美しい旋律に撫でられ、満たされた朝を迎えた2人のきらめき。あんな美しい瞬間を演じられたことは、私の宝物。この曲をきらめく朝のために。
アルバム『Chopin』収録。
舞台でのワンシーン。足先だけの、美しすぎるラブシーン。観客には、マリア・ジョアン・ピリスのピアノの旋律と、まるで映画のクローズアップのように、男女2人の足先だけが眩ゆい光の中、浮かび上がる。美しい旋律に撫でられ、満たされた朝を迎えた2人のきらめき。あんな美しい瞬間を演じられたことは、私の宝物。この曲をきらめく朝のために。
アルバム『Chopin』収録。
Sunday Night

秋の夜、あえて、静かに考えを巡らせるのではなく、音や細胞のうねるがまま、彼らの生み出すグルーヴに身を委ねて、軽やかなギフトを掴みにいく。少しオーバーヒート気味の頭にも、心地よい冷ややかさが、正気を取り戻させてくれる。
彼らとの時代は、熱かった。さまざまなムーブメントが起こり、若者は眼を開いていった。ビースティが見せてくれた世界は、最高に格好よく、最高の真実だった。
どこからともなく、自分も知らなかった、秘められた力がやって来てくれるような、静かなる高揚感。真実は軽やかに見るもの。
アルバム『The In Sound From Way Out !』収録。
彼らとの時代は、熱かった。さまざまなムーブメントが起こり、若者は眼を開いていった。ビースティが見せてくれた世界は、最高に格好よく、最高の真実だった。
どこからともなく、自分も知らなかった、秘められた力がやって来てくれるような、静かなる高揚感。真実は軽やかに見るもの。
アルバム『The In Sound From Way Out !』収録。
俳優 中嶋 朋子

1971年東京都生まれ。映画、舞台、テレビドラマを中心に活動。パーソナリティーを務めるTBSラジオ『ラジオシアター〜文学の扉』では、小説の名作から1冊の本を選び、その中の名シーンを毎回ラジオドラマ化。フランスの劇作家ヤスミナ・レザによる4人芝居の舞台『正しいオトナたち』、劇団た組『誰にも知られず死ぬ朝』(https://takumi.themedia.jp/posts/6778540)が待機中。ナレーションを担当する宇宙や地球にまつわる謎を1つずつ解き明かしていく番組、BSプレミアム『コズミック フロント☆NEXT』が毎週木曜22時に放送中。