MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/中嶋朋子 vol.1October 04, 2019
October.03 – October.10, 2019
Saturday Morning

少し攻撃的な自分にさえ、抗うことを手放させてくれる。やってくるのは心地よさ。ヒリヒリとした夏の残り香がある時なんか、なおさら。毒を持って毒を制す——そんな感じで。
トム・ウェイツは言う。ウェイツという名を名乗る人々のルーツには“音楽を奏で時を知らせる”役割があったと。本当かどうかはわからないけど、そうなのだとしたら、ジリジリと焦げつくようだった、夏の熱を冷ませない私に、巡るべき“時”を告げてもらおう。
彼の歌声は夜が似合うけど、あえて朝に。この曲と共に「私はワタシなんだ!」と突き進むのもいい。時は自分で創り出すものなのかもしれない。
アルバム『Franks Wild Years』収録。
トム・ウェイツは言う。ウェイツという名を名乗る人々のルーツには“音楽を奏で時を知らせる”役割があったと。本当かどうかはわからないけど、そうなのだとしたら、ジリジリと焦げつくようだった、夏の熱を冷ませない私に、巡るべき“時”を告げてもらおう。
彼の歌声は夜が似合うけど、あえて朝に。この曲と共に「私はワタシなんだ!」と突き進むのもいい。時は自分で創り出すものなのかもしれない。
アルバム『Franks Wild Years』収録。
Sunday Night

優しさと哀しみ、ほんのりとした甘やかさに包まれたい。ちょっと遠くなってしまった思い出や、帰れない場所、帰れない時を、優しく、そっと手を重ねて掬いあげる。いつもなら遅い朝によく聞く。ただ秋だから、虫の音と共に、薄紙を剥がすように、何かが浄化される——癒しの夜として。
映画『パリ、テキサス』のナスターシャ・キンスキーの深い瞳と、鮮やかなピンクのニットワンピース。十代の頃、初めて会った樹木希林さんに、「あなたナスターシャ・キンスキーに似てるから、キンスキー中嶋って呼ぶわ」と言われて心踊った。素敵な人からの粋なひとこと。
手を伸ばすばかりのノスタルジー。この曲に寄り添ってもらうしかない。
アルバム『Paris, Texas (Original Motion Picture Soundtrack)』収録。
映画『パリ、テキサス』のナスターシャ・キンスキーの深い瞳と、鮮やかなピンクのニットワンピース。十代の頃、初めて会った樹木希林さんに、「あなたナスターシャ・キンスキーに似てるから、キンスキー中嶋って呼ぶわ」と言われて心踊った。素敵な人からの粋なひとこと。
手を伸ばすばかりのノスタルジー。この曲に寄り添ってもらうしかない。
アルバム『Paris, Texas (Original Motion Picture Soundtrack)』収録。
俳優 中嶋 朋子

1971年東京都生まれ。映画、舞台、テレビドラマを中心に活動。パーソナリティーを務めるTBSラジオ『ラジオシアター〜文学の扉』では、小説の名作から1冊の本を選び、その中の名シーンを毎回ラジオドラマ化。フランスの劇作家ヤスミナ・レザによる4人芝居の舞台『正しいオトナたち』、劇団た組『誰にも知られず死ぬ朝』(https://takumi.themedia.jp/posts/6778540)が待機中。ナレーションを担当する宇宙や地球にまつわる謎を1つずつ解き明かしていく番組、BSプレミアム『コズミック フロント☆NEXT』が毎週木曜22時に放送中。