MUSIC 心地よい音楽を。今月の選曲家 曽我部 恵一December 08, 2015 Dec.4 – Dec.10, 2015 Saturday Morning Title. Mãe Artist. Gal Costa 12月の土曜日の朝に聴くにはちょっとセンチメンタルすぎるだろうか。カエターノ・ヴェローゾがガルのために書いた曲。題名は「お母さん」。歌の主人公は母親を亡くしたばかりのようだ。海にもリオにも人にもなんにも今は関心がない、と歌う。ぼくはまだ両親を亡くしたことがないから解らないが、この歌はからっぽな心だけが持つ明るさのようなものを伝えてくる。なんだかとてものんびりしている。失うということは、安堵に似ているのかな。サウダージというよくわからない感覚。この曲を聴くとぼくは疑似体験できる。後期ビートルズ、ポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンの中間のようなミディアムロック。ガルの言葉にならぬスキャットは、どこか遠い場所への呼びかけのようで。アルバム『Agua Viva』収録 Sunday Night Title. Method of Modern Love Artist. Hall&Oates 日曜日の夜は憂鬱だ。そうにちがいない。明日はまた仕事。最悪だ。あんなに煌めいていた週末はあっというまに終わってしまった。週末の素敵さにかまけて、今週中にやるべきことには手を付けていない。悪夢だ。チープでロマンティックなSFを思う。ふと目覚めると過去にタイムスリップしていて、美しいヒロインと手を取り冒険が始まる。なんてな。夢想に浸るうちに時は過ぎゆく。そんな都会の哀しき労働者の心に響くサウンドトラックナンバー今週の第1位はこの曲。近代的恋の方式。なんて素晴らしいタイトルだろう。どこかエキゾチックなシンセの旋律。やわらかで無機質なスイートソウルミュージック。「ブルーアイドソウル」とだれかが呼んだ。『Big Bam Boom』収録 &Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ 音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。 もっと読む ミュージシャン 曽我部 恵一1971年8月26日生まれ。香川県出身。1994年、サニーデイ・サービスのボーカリスト/ギタリストとしてデビュー。2001年よりソロでの活動をスタート。インディペンデントレーベル<ROSE RECORDS>主宰。現在サニーデイ・サービスのホールツアー中。 → sokabekeiichi.com Share