MUSIC 心地よい音楽を。
今月の選曲家 大森克己February 17, 2017
February.17 – February.23, 2017
Saturday Morning

おそらく無意識下の僕の音楽体験のルーツのひとつが13歳まで毎日曜日に通っていた教会の讃美歌の響き。両親がクリスチャンだったのです。そしてもうひとつが1970年代の歌謡曲。ジャズやラテンやアメリカ南部の空気をそれとは知らずに歌謡曲を通して吸収していたのだと思います。この曲は1974年、僕が小学5年生の時に大ヒット。舌ったらずのヴォーカルとキャラメル・ママの演奏のコンビネーションが絶妙で、間奏のピアノが南の何処かへ旅に連れていってくれるよう。掃除や洗い物をしながら聴くと思わず一緒に口ずさんでしまうな。
アルバム『アグネスの小さな日記』収録。
アルバム『アグネスの小さな日記』収録。
Sunday Night

もうとっくに自分は大人のはずなんだけど、大人になったらこんな人になりたいっていう理想の男です、カエタノ・ヴェローゾ。もし自分が女だったら一緒に暮らしたい。洒落者とはこういう人のことですね。はじめて聴いたのは何の曲だったかなあ? ささやくように呟くように歌われるオリジナル曲が素晴らしいのは勿論ですが、この人が歌うスタンダードもまた素敵。小さな声で語ることの大切さを分かっている大人の男が歌う香水みたいなラテン・ダンス・ナンバー。プエルト・リコ出身のラファエル・エルナンデスという人の曲。
アルバム『Fina Estmpa』収録。
アルバム『Fina Estmpa』収録。
写真家 大森 克己

1994年、第3回写真新世紀優秀賞。国内外での写真展や写真集を通じて作品を発表。近年は MEM での個展「sounds and things」(2014)「when the memory leaves you」(2015)、ギャラリー・トラックスでの個展「 #soundsandthings 」(2015)など精力的に活動を行っている。東京都写真美術館「路上から世界を変えていく」(2013)、チューリッヒの Museum Rietberg 「 GARDENS OF THE WORLD 」(2016)などのグループ展に参加。主な写真集に『サルサ・ガムテープ』(リトルモア)、『encounter』(マッチアンドカンパニー)、『サナヨラ』(愛育社)、『すべては初めて起こる』(マッチアンドカンパニー)など。「BRUTUS」 や「 SWITCH 」などの雑誌や「花椿」「雛形」などの WEB マガジンでも多くの撮影をしている。