MUSIC 心地よい音楽を。
今月の選曲家 大森克己February 10, 2017
February.10 – February.16, 2017
Saturday Morning

「君のためだけに歌うよ」と云ってベッドサイドで恋人のためにギターの弾き語りをするっていうのはどうだろう? ちょっと照れちゃうかもね。でもいつかやって来るそんな時のためにギターを練習してみよう。母国語ではない外国語の歌を弾き語ってみて思うのは言葉、ヴォーカルにも打楽器的な側面がはっきりとあるということ。人生に意味なんてあるのかどうかは分からないけれど、人生にとってリズム感は大切だな。あと、小さな声で伝わる何か。子音に宿る何か。
アルバム『In Between Dreams』収録。
アルバム『In Between Dreams』収録。
Sunday Night

こちらも弾き語りだけれども誰かのために歌うというよりは、夜の虚空に向かって語りかけるような孤独な音楽。デヴィッド・ボウイがこの曲のオリジナルを発表した1972年にはCDもiTunesもパソコンも携帯電話もSNSも無かったんだよなあ。誰にもいえない秘密を抱えて人は生きていて、でもとくべつな瞬間に誰かと出会ってその秘密を共有できることがごく稀にあるのかもしれない、そんな希望。
アルバム『The Life Aquatic Studio Sessions』収録。
アルバム『The Life Aquatic Studio Sessions』収録。
写真家 大森 克己

1994年、第3回写真新世紀優秀賞。国内外での写真展や写真集を通じて作品を発表。近年は MEM での個展「sounds and things」(2014)「when the memory leaves you」(2015)、ギャラリー・トラックスでの個展「 #soundsandthings 」(2015)など精力的に活動を行っている。東京都写真美術館「路上から世界を変えていく」(2013)、チューリッヒの Museum Rietberg 「 GARDENS OF THE WORLD 」(2016)などのグループ展に参加。主な写真集に『サルサ・ガムテープ』(リトルモア)、『encounter』(マッチアンドカンパニー)、『サナヨラ』(愛育社)、『すべては初めて起こる』(マッチアンドカンパニー)など。「BRUTUS」 や「 SWITCH 」などの雑誌や「花椿」「雛形」などの WEB マガジンでも多くの撮影をしている。