MUSIC 心地よい音楽を。

今月の選曲家 中島ノブユキDecember 30, 2016

December.30 – January.05, 2016

Saturday Morning

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Title.
Fantaisie & fugue en sol mineur, BWV 542: Fugue
Artist.
Yvonne Lefébure
一年の終わりの足音が聞こえてくるときにバッハの音楽、特にフーガを聴き返す事が多い。フーガという形式が技法の限りを尽くした高度な構築性を必須とした音楽であるのにもかかわらず、そこに溢れるほどの感情と官能があるからだ。フーガの大家であったバッハの曲の中から僕はこの曲を選びたい。最初に提示される主題(フーガではこの最初に提示される主題を軸に展開される)が一聴簡素な物に聞こえる。しかしその後少しずつ声部が重なるにつれ、響きを纏いその装いを変えながら展開してゆく。そこに身をゆだねていると体や精神のネジをグイッと巻き直すような気持ちになるのだ。
アルバム『Bach/Mozart/Beethoven』収録。

Sunday Night

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Title.
Wastin’ Time
Artist.
The Shoes
人によってはこの曲を「まぁ単なるポップでハッピーな曲」と思うかもしれない。でも「単なるポップでハッピーな曲」の大ファンの自分にとっても、この曲は特別な魅力があるように思えて一年を通して何度も聴いた。「曲の魅力、音楽の魅力」というのは本当に説明できない。一瞬聞こえてくる音の何気ない組み合わせや、ほんのわずかな言葉とメロディーの絡み方が気になると言うだけでその曲を好きになっていて、それは人と共有できるような物語以前の何か煌めきのようなものだ。一年の最後の日、もし晴れていたら(あ、いや曇っていても……)朝からこの曲聴こうと思う。
アルバム『Crack My Bones』収録。
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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作曲家、ピアニスト 中島 ノブユキ

ソロアルバム『エテパルマ』『メランコリア』『クレール・オブスキュア』『散りゆく花』等発表。各地でピアノソロや室内楽編成で公演を行う。NHK大河ドラマ「八重の桜」や「神様のボート」等のドラマ、映画『人間失格』『悼む人』の音楽を担当。菊地成孔・ペペトルメントアスカラール、畠山美由紀らのアルバムやコンサートで楽曲提供及び編曲を担当。リミックスワークとして中島自身のリミックスによる「Thinking of You」がホセ・パディーヤのコンピレーションに収録、全世界発売された。また2011年よりジェーン・バーキン ワールドツアー「Via Japan」(27ヵ国 約70数公演)の音楽監督を務めた。2016年より再びジェーン・バーキン ワールドツアー「GAINSBOURG SYMPHONIQUE」の音楽監督/オーケストラ編曲/ピアニストを務め世界各地で公演。またそのアルバムは2017年初春、世界発売される。自身の音楽レーベル SOTTO を2015年設立。

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