MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/みどり vol.2March 10, 2023
March.10 – March.16, 2023
Saturday Morning

春ですね。天気がよかったら外に出かけたくなる季節。木々のざわめきや、鳥のさえずり、波打ち際で寄せては返す波の音を聴くだけで、心が満たされていく感じ。立ち止まってじっと耳をすましていると、いま自分がいる場所の奥行きまで感じられる瞬間があります。このアルバムは、音から世界の豊かさを感じる旅を繰り返してきた「サウンドバム」の人たちが、その旅の記録をまとめたもの。フィジー諸島に始まり、アラスカ、マレーシア、ポルトガル、カナダ、キューバ、そしてハワイ‥‥。音による旅行記でもあるし、聴くことから世界を感じる入り口にもなるようなアルバム。でもなによりも、カメラではなく録音機を持って旅に出たくなる1枚です。
土曜日の朝には、このなかからマレーシア編をまず。聞こえてくるのは、タマンネガラ国立公園の朝、昼、晩の音。スコールの音、などなど。
ぼくが近所の公園で耳をすましているときに、マレーシアの森ではこんな音がしているのだろうし、北米の海ではオルカたちがおしゃべりをしている。そのことを、すこしだけ想像してみる。(青木隼人)
アルバム『Sound Bum: Traveling with Sounds』収録。
土曜日の朝には、このなかからマレーシア編をまず。聞こえてくるのは、タマンネガラ国立公園の朝、昼、晩の音。スコールの音、などなど。
ぼくが近所の公園で耳をすましているときに、マレーシアの森ではこんな音がしているのだろうし、北米の海ではオルカたちがおしゃべりをしている。そのことを、すこしだけ想像してみる。(青木隼人)
アルバム『Sound Bum: Traveling with Sounds』収録。
Sunday Night

奈良の東吉野村に出かけたとき、道沿いに「ニホンオオカミ最後の地」という看板を見かけました。明治38年に東吉野村で捕獲されたのを最後に、生存の確認がないようです。でも、もしかしたら、どこかの山奥でいまも人目にふれず生きているニホンオオカミがいるかもしれないと想像するのは、ちょっと楽しいこと。見つからなくてもいいのです。それくらいが、人間と動物の関係としてはよいかもしれないと思うのです。
カナダで制作された『Wolf Talk』には、オオカミの鳴き声、そして彼らがいる自然環境の音(カエルやアオカケスなどの声も聞こえます)が収録されています。ただ、マイクはオオカミに近づいていない。マイクとオオカミとのあいだにある距離を感じるのが、この録音の醍醐味かもしれません。(同じようなことを、星野道夫さんの写真からも感じます。カメラと動物たちとのあいだにある、決して埋まらない距離の哀しさ、愛おしさ‥‥)
オオカミの遠吠えは、威嚇のために行うというよりも、「ここにいるよ」というサインとして発せられることが多いようです。日曜日の夜に、ひとりこのアルバムを聴いていると、不思議と安心できる自分がいます。
でも、動物と暮らしている方はお気をつけて。かれらにとっては脅威の音かもしれません。おどろいて日曜の夜の平穏をひっくり返してしまうかも。(青木隼人)
アルバム『Wolf Talk』収録。
カナダで制作された『Wolf Talk』には、オオカミの鳴き声、そして彼らがいる自然環境の音(カエルやアオカケスなどの声も聞こえます)が収録されています。ただ、マイクはオオカミに近づいていない。マイクとオオカミとのあいだにある距離を感じるのが、この録音の醍醐味かもしれません。(同じようなことを、星野道夫さんの写真からも感じます。カメラと動物たちとのあいだにある、決して埋まらない距離の哀しさ、愛おしさ‥‥)
オオカミの遠吠えは、威嚇のために行うというよりも、「ここにいるよ」というサインとして発せられることが多いようです。日曜日の夜に、ひとりこのアルバムを聴いていると、不思議と安心できる自分がいます。
でも、動物と暮らしている方はお気をつけて。かれらにとっては脅威の音かもしれません。おどろいて日曜の夜の平穏をひっくり返してしまうかも。(青木隼人)
アルバム『Wolf Talk』収録。
ミュージシャン みどり

森ゆに、青木隼人、田辺玄のトリオ。2017年に緩やかに活動をスタート。ふだんはピアノ弾き語りで歌う森ゆには、みどりではピアノを弾かずに歌う。青木隼人と田辺玄は、ギターで歌を支え、ときどき前に出て合奏をする。演奏の活動期間は啓蟄から立冬まで。2019年3月ファーストアルバム『みどり』発表、2022年4月セカンドアルバム『みどり2』発表。