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今日、どんな花を飾りましたか。料理家・麻生要一郎さんの花のある暮らし。April 26, 2023

2023年4月6日発売の特別編集MOOK「花と緑を愛でる」。花の飾り方、植物との暮らしの実例を中心に、本誌がこれまで特集してきた、ボタニカルなBetter Lifeを一冊にまとめました。日常にさりげなく花を取り入れている15人に、ふだんの花の飾り方を聞いた企画「今日、どんな花を飾りましたか」より、ここでは料理家・麻生要一郎さんの花のある暮らしを紹介します。

今日、どんな花を飾りましたか。料理家・麻生要一郎さんの花のある暮らし。

母のため、自分のために、バラを飾る。

 麻生要一郎さんが特別な思いを抱き、食卓によく飾るのがバラ。8年前に亡くなった母親が大好きだった品種だという。供養と謝意を表し飾ったバラを眺めていると、今でも背筋が伸びる思いになるそう。

「自分自身をシュッとさせたいときは、バラを買って帰ります。もともと花を飾ることが習慣になっていましたが、母が亡くなってから、同じ行為でも特別な意味を持つものに変わりました。感覚的には、仏壇にお供えすることに近い。今日も食卓には淡いピンクのバラを。隣には、先週まで食卓を彩ってくれたチューリップを短くカットして置いています」

 バラ越しに、母の姿を思い浮かべる麻生さん。共に暮らす家族のように心を通わせている。

「ちょっと気持ちが沈んだときにバラをふと見ると枯れていることがあったり、自分の心と連動することがあるから不思議ですよね。せっかく飾るなら、元気な花姿が良い。だから、バラを購入するときは、水揚げやメンテナンスが丁寧で花持ちが良い、東京・学芸大学の『ザ・ダッフォディルズ』へ行きます」

 家に持ち帰ったバラは、基本的に一種をドンと飾り、料理でいう副菜のように緑を添えている。

「今日生けたバラには、ベランダで育ったビワの葉をアレンジしました。母と過ごした実家の庭には、年中、植物が咲き誇っていました。花瓶の中に旬な枝を添えるとバラがさらに生命力溢れる印象になり、自分の力にもなる。これも母から学んだことです」

PROFILE

麻生要一郎 Yoichiro Aso 料理家

メディアへのレシピ提供、食や暮らしまわりについての執筆などを経て、2020年に料理エッセイ『僕の献立本日もお疲れ様でした』、’22年には第2弾『僕のいたわり飯』(ともに光文社)を刊行。

麻生要一郎

photo : Kazumasa Harada illustration:Shapre text : Keiichiro Miyata

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