FOOD 食の楽しみ。

もっと知りたい国産ナチュラルチーズのおいしさと魅力。「チーズ工房那須の森」を訪ねて。September 27, 2024 / 〔PR〕

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今、国内外から注目が集まっている日本発のナチュラルチーズ。

 近年、“食のセレクトショップ”と呼ばれるこだわりの食品を取り扱う店でも見かけることが多くなった国産ナチュラルチーズ。10年前は全国で200軒ほどだったチーズ工房の数は、現在360軒以上に増加。単に工房数が増えているだけではなく、『ワールド・チーズ・アワード(WCA)』など海外の品評会でも日本のチーズが高い評価を得るなど、目覚ましい進化を遂げている。

 全国でチーズ工房が増えている背景には、食文化の変化や健康志向の上昇もあり、チーズの消費量が増加していることが挙げられる。そこに、日本の酪農を盛り上げたいという志を持った人、チーズそのものの面白さに魅了された人が参入することで、これまでにない国産ナチュラルチーズが次々と生み出されている。

 盛り上がりを見せる国産チーズの今を体感すべく、本州一の生乳生産量を誇る栃木県那須塩原市を訪れた。那須連山の麓の美しい自然に抱かれたこの場所で、2008年より地域の酪農家からミルクを仕入れ、丁寧にチーズづくりを続けている「チーズ工房那須の森」へ。案内してくれたのは代表取締役を務める山川将弘さん。自身も那須で「森林ノ牧場」という農場を営む、酪農にもチーズづくりにも深い知見を持った人物だ。

「チーズの原料のほとんどは生乳。そのため、牛の品種や、健康状態、どんな餌を食べているか、そして生乳の成分の4つが重要です。生乳を流通させるための基準をクリアしたものが、そのままチーズづくりに適したものであるわけではありません。そのため、この場所で酪農家の方と顔を合わせてコミュニケーションを取りながら、質の高い生乳を仕入れることが、おいしいチーズを作る上でまずは大切なことだと考えています。酪農業界にとっても、消費者と繋がる視点を持って質を高めていくことはとても重要。チーズ工房がその役割を果たしていけるんじゃないかと考えています」

「チーズ工房那須の森」では現在、熟成チーズ3種、フレッシュチーズ5種を通常商品として製造している。11人の職人それぞれに担当があり、誰か一人に頼るのではなくチームとして生産をしているのも特徴だ。さっそく工房の中を見せてもらおう。

周囲の環境に溶け込むように立つ「チーズ工房那須の森」。併設の直売所には、地元の人のほか、観光客も多数訪れていた。
周囲の環境に溶け込むように立つ「チーズ工房那須の森」。併設の直売所には、地元の人のほか、観光客も多数訪れていた。
酪農の盛んな那須のなかでも戸田地区には、10軒のチーズ工房が集まっている。「那須ナチュラルチーズ研究会」をつくり情報交換やイベント開催に取り組むなど、一丸となりチーズ文化を盛り上げている。
酪農の盛んな那須のなかでも戸田地区には、10軒のチーズ工房が集まっている。「那須ナチュラルチーズ研究会」をつくり情報交換やイベント開催に取り組むなど、一丸となりチーズ文化を盛り上げている。
事務所入り口に置かれた、生乳からチーズが作られるまでをイラストでまとめたホワイトボード。希少なブラウンスイスの生乳にこだわった製造を続けている。
事務所入り口に置かれた、生乳からチーズが作られるまでをイラストでまとめたホワイトボード。希少なブラウンスイスの生乳にこだわった製造を続けている。
「地域の生乳をたくさん使って、ある程度の量を作ることを目指しています。そのためにもチームであることを大切にしています」と山川さん。のれんや制服のイラストは、山川さんが旧知のデザイナーにイメージを伝えて描いてもらったもの。
「地域の生乳をたくさん使って、ある程度の量を作ることを目指しています。そのためにもチームであることを大切にしています」と山川さん。のれんや制服のイラストは、山川さんが旧知のデザイナーにイメージを伝えて描いてもらったもの。
取材時は、長期熟成のセミハードタイプの「森のチーズ」の製造日。生乳をチーズバットに入れ、ふたりがかりで撹拌していく。
取材時は、長期熟成のセミハードタイプの「森のチーズ」の製造日。生乳をチーズバットに入れ、ふたりがかりで撹拌していく。
レンネットという酵素を入れることで固まったミルク。カードと呼ばれる。
レンネットという酵素を入れることで固まったミルク。カードと呼ばれる。
製造の過程で大量に出てしまうホエイは、タンパク質など栄養素が豊富。乳脂肪分とカゼインというタンパク質を取り除いた状態。
製造の過程で大量に出てしまうホエイは、タンパク質など栄養素が豊富。乳脂肪分とカゼインというタンパク質を取り除いた状態。
「チーズ工房那須の森」では、ホエイをブラウンチーズの原料として使用。また、パンや菓子、ビールの原料など、ホエイの幅広い活用を啓蒙するために、「チーズとホエイの祭典」を開催するなど、地域ぐるみで盛り上げている。
「チーズ工房那須の森」では、ホエイをブラウンチーズの原料として使用。また、パンや菓子、ビールの原料など、ホエイの幅広い活用を啓蒙するために、「チーズとホエイの祭典」を開催するなど、地域ぐるみで盛り上げている。

丁寧な手仕事だから可能となる繊細なチーズづくり。

 ひんやりとした一定の室温に保たれた工房へと足を踏み入れる。決して広くないスペースには生乳を入れるチーズバットが置かれ、職人の手で撹拌されているところだった。この日は自然のカビや菌・酵母の力で熟成したセミハードタイプのチーズ「森のチーズ」を製造する日。「チーズ工房那須の森」では、日毎に製造するチーズが異なり、それぞれを担当する職人がその日の製造を取り仕切っていく。

 朝早くから始まるチーズづくり。酪農家から仕入れた生乳をチーズバットに入れて低温殺菌し、冷ましたところでスターターとなる乳酸菌を入れ、その後に凝乳酵素であるレンネットを加えて固めていく。丁寧にかき混ぜたり、固まり具合をチェックし、固まったチーズをすくい集めて成形したり…など、すべての作業は職人の手仕事で、ひとつひとつ進められていく。工房内にはほかに3つの熟成庫や、包装を行う部屋もあり、この小さな工房から全国へ、丁寧に作られた味わい深いナチュラルチーズが届けられていく。

 もうひとつ、「チーズ工房那須の森」の取り組みで特筆すべきは、チーズづくりの過程で大量に排出されるホエイの活用。生乳からチーズとなるのは約10%で、それ以外はホエイとなり、かつては廃棄されることも多かったという。地域のレストランでピザやパンの材料にしてもらったり、養豚場で豚の食料として活用してもらったりのほか、ホエイを煮詰めて作るブラウンチーズを製品化するなど、地域に根ざした新たなホエイの活用も見逃せない。

 最後に、山川さんにチーズづくりの楽しみについて聞いた。

「酪農家の方から届く生乳は、毎日状態が違います。その状態やその日の気候に合わせて、混ぜるスピードやカットの大きさなどを調整していくので、作り方に正解がないんです。常に理想のチーズを目指して試行錯誤する。そこが面白いところだと思います。チーズはそもそも冷蔵庫のない時代でもミルクを保管して食べたり持ち運べるようにした昔の人の知恵から生まれたものです。冷蔵庫のある今でも、一年中ほぼ一定に出る生乳と、決して一定ではない消費とのバランスを取るために、酪農家にとって大切な乳製品です。今はそれがおいしさの追求へと進化しています。また、もともとは海外から輸入されたものだったのが、日本独自の文化として根付き始めたことで、これからどんな自由なチーズが生まれるんだろうというワクワク感がある。それを消費者の人にも楽しんでもらえるとうれしいですね」

 日本ならでは、日本だからこそ。昔からある発酵の技術を応用しながらも、風土や現在の食文化に合わせて、独自のアイデアで作られたチーズが続々と登場している今。現在進行形で進化する国産ナチュラルチーズの魅力を、もっと体感してみたい。

型に入れて成型する工程。形や味にできるだけムラが出ないよう、職人たちがコミュニケーションを取りながら丁寧に作業が進められていく。
型に入れて成型する工程。形や味にできるだけムラが出ないよう、職人たちがコミュニケーションを取りながら丁寧に作業が進められていく。
長期熟成させる「森のチーズ」は水分をしっかり切ることが大切。一つ一つの工程が手作業で行われる。
長期熟成させる「森のチーズ」は水分をしっかり切ることが大切。一つ一つの工程が手作業で行われる。
見た目の均一さ、美しさを海外から評価されることも多い国産チーズ。雑味がなく、旨味が際立っているものが多く、まとまりがあるのが特徴だという。
見た目の均一さ、美しさを海外から評価されることも多い国産チーズ。雑味がなく、旨味が際立っているものが多く、まとまりがあるのが特徴だという。
熟成庫で保管する様子。自然のカビや菌、酵母の力で熟成させる「森のチーズ」は、熟成期間に応じて味に深みが増す。「森のチーズ 長熟」は世界最高峰のチーズコンテスト『World Cheese Awards 2019』にてスーパーゴールドメダルを獲得。
熟成庫で保管する様子。自然のカビや菌、酵母の力で熟成させる「森のチーズ」は、熟成期間に応じて味に深みが増す。「森のチーズ 長熟」は世界最高峰のチーズコンテスト『World Cheese Awards 2019』にてスーパーゴールドメダルを獲得。
人気の「カチョカバロ」。2022年の『Japan Cheese Awards』銅賞入賞。保存性を高めるため1日しっかりと干して乾燥させる。酸味と旨味、塩味によりミルク感をしっかり楽しめるチーズ。
人気の「カチョカバロ」。2022年の『Japan Cheese Awards』銅賞入賞。保存性を高めるため1日しっかりと干して乾燥させる。酸味と旨味、塩味によりミルク感をしっかり楽しめるチーズ。
「カチョカバロ」は加熱すると柔らかくなるので、スライスしてフライパンで焼くとよくのびてミルキーな香りが楽しめる。成型方法に改良を加え、よりジューシーで歯応えが楽しめるものに仕上がった。
「カチョカバロ」は加熱すると柔らかくなるので、スライスしてフライパンで焼くとよくのびてミルキーな香りが楽しめる。成型方法に改良を加え、よりジューシーで歯応えが楽しめるものに仕上がった。
さけるタイプのチーズ「フィラータスティック」。さいてそのまま食べられるので、おつまみやおやつに人気。キュッキュッとした食感がクセになる。スープやサラダのトッピングにしてもおいしい。
さけるタイプのチーズ「フィラータスティック」。さいてそのまま食べられるので、おつまみやおやつに人気。キュッキュッとした食感がクセになる。スープやサラダのトッピングにしてもおいしい。
工房の入り口に併設された直売所。人気は「搾りたてモッツアレラ」「フィラータスティック」。リピーターやお土産に購入する人も多い。
工房の入り口に併設された直売所。人気は「搾りたてモッツアレラ」「フィラータスティック」。リピーターやお土産に購入する人も多い。
チーズの製造の過程で出てくるホエイを煮詰めて攪拌しながら熱をかけて作る茶色い甘酸っぱいチーズ「ブラウンチーズ」。親交のあるチーズ工房から仕入れたホエイも原料に使用し、ホエイの新たな活用法としても注目されている。2022年『Japan Cheese Awards』最優秀部門賞受賞。
チーズの製造の過程で出てくるホエイを煮詰めて攪拌しながら熱をかけて作る茶色い甘酸っぱいチーズ「ブラウンチーズ」。親交のあるチーズ工房から仕入れたホエイも原料に使用し、ホエイの新たな活用法としても注目されている。2022年『Japan Cheese Awards』最優秀部門賞受賞。
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チーズ工房那須の森

住所 : 栃木県那須塩原市戸田738-4
☎️ 0287-73-5420
営業時間 9:30~16:00
Tel:0287-73-5420
Fax:0287-73-5419
木休

nasunomori.jp


国産ナチュラルチーズの祭典『Cheese Fun! Fan! Fun!』が開催されます!

日本全国から国産ナチュラルチーズの生産者が集まり、日本のチーズのおいしさや技術を伝える国内最大級の展示試食会が今年も開催。10月19日(土)、20日(日)の2日間にわたって、国産ナチュラルチーズのコンテスト『Japan Cheese Awards 2024』、国産ナチュラルチーズの生産者との交流や約200種の国産チーズの試食イベント『第9回 日本の銘チーズ百選』を同時開催。盛り上がりを見せる国産ナチュラルチーズの魅力を存分に味わえる貴重な機会です。

Event InformationCheese Fun! Fan! Fun!

イベント名 : Cheese Fun! Fan! Fun! 
      Japan Cheese Awards 2024/第9回 日本の銘チーズ百選
会場 : 東京ドームシティ プリズムホール(東京都文京区後楽1丁目3−61)
日程 : 2024年10月19日(土)11:00~17:00
   食べて楽しむFun!エリア  第1部11:30~13:30
                第2部15:00~17:00
  
2024年10月20日(日)11:00~17:00
    食べて楽しむFun!エリア  第1部11:00~13:00
                 第2部14:00~16:00
料金 : 食べて楽しむFun!エリア 前売券 1900円 当日券 2200円
   約200種類のチーズが味わえる《食べて楽しむFun!エリア(日本の銘チーズ百選)》以外は入場無料

開催内容:国産ナチュラルチーズのコンテストおよびコンテスト出品チーズの試食、販売
     国産ナチュラルチーズの魅力訴求展示、体験コンテンツ、ステージイベント
主催: NPO法人チーズプロフェッショナル協会
    令和6年度国産チーズ競争力強化支援対策事業
    (独立行政法人農畜産業振興機構後援)
後援: 農林水産省、チーズ普及協議会、一般社団法人日本チーズ協会、一般社団法人中央酪農会議

公式Instagram(@cheeprocpa)
公式X(@CheeseFunFanFun

公式サイト

photo : Shota Matsushima text : Ai Hanazawa

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