MUSIC 心地よい音楽を。

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/原 摩利彦 vol.1August 07, 2020

August.07 – August.13, 2020

Saturday Morning

Title.
Parlando
Artist.
Golfam Khayam, Mona Matbou Riahi
在宅生活が長くなって、リビングで家族と聴く音楽や仕事部屋でひとり研究するための音楽を探すことが多くなった。このところペルシャ音楽をよくかける。その中でとくによく聴いているのが、テヘラン在住のギター奏者 Golfam Khayamとクラリネット奏者Mona Matbou Riahi(彼女たちは「Naqsh Duo」という名前で活動している)のデビューアルバム。冒頭のすっと上昇するクラリネット の音で一気に心を奪われる。
ある日、私が出演した配信ライブを見てGolfamが連絡をくれた。イラン出身の親しい友人がいたり、妻がイラン人家族の結婚式のケータリングを何度かしたり。イランとは何か縁があるように感じる。いつか行ってみたい場所のひとつだ。
アルバム『Narrante』収録。

Sunday Night

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Title.
II
Artist.
Shuta Hiraki
旅先ではよく真っ白なノートを前にして、お気に入りのペンとともに静かな省察の時間を設けることがよくあった。今では日曜日の夜にして、次の一週間の計画も立てる。その際、同時に無数の記憶も蘇ってくる。その日のこともあれば、今まで一度も思い返したこともないような小さな出来事もある。長崎在住のShuta Hirakiのこのアルバムは、その現れては消えていく記憶の風景をとてもよく表現しているようだ。場面は展開するのではなく、ゆっくりと移ろい流れていく。一聴すると繊細で内省的だけれども、音量を小さくしても、大きくしてもはっきりと美しく響き、この作品の強度がよくわかる。
アルバム『Voicing In Oblivion』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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音楽家 原 摩利彦

京都を拠点に活動。国内外問わす現代アートや舞台芸術、インスタレーションから映画音楽まで幅広く活躍。最近では松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳ら豪華俳優陣が出演、読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞し話題となった野田秀樹演出の舞台作 『Q:A Night At The Kabuki』でサウンドデザインを担当。日本を代表するアートコレクティブ『ダムタイプ』のメンバーとしても活動。世界ツアーも大盛況となり森山未來もダンサーとして参加している世界的振付師ダミアン・ジャレ(トム・ヨーク『ANIMA』の映像作品の振付も担当)と彫刻家名和晃平によるプロジェクト『Vessel』では坂本龍一と共に劇伴を手がける。Apple 新CM『Macの向こうから ̶ 新海誠』に楽曲が起用されるなど、次から次へと活動の場を広げている。3年ぶりとなる待望のソロ作品『PASSION』が今年6月5日にリリースされた。

marihikohara.com/works

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