MUSIC 心地よい音楽を。
プロデューサー、シンガーermhoiさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.4September 26, 2025
September.26 – October.2, 2025
Saturday Morning

なるべく長く眠って、しっかり疲れをとって気持ちのいい土曜日を迎えたい。がしかし、家の近所で行われている工事が、週末になってもなお、続くことがあるものだ。朝寝坊したい人にとっては、なかなかに辛い状況だ。このコラム最後の週にお聴きいただきたいのは、近所の工事現場でコンクリートを打ち砕く音で叩き起こされ、加えて、私が住む老いた家が崩れるのではないかと恐怖心を抱きながら作った曲、「House」である。たいしたことのない日常から生まれた歌ではあるが、今の世界に対して感じる事と重なるような歌詞になっていて、不思議だ。
アルバム『Dream Land』収録。
アルバム『Dream Land』収録。
Sunday Night

夏が終わりに近づき、ようやく暑さが和らいできた。どういうわけだか、その辛い暑さに対して懐かしさすら感じている。「生き延びる」という言葉がしっくり来るような異常気象は、これまでの歴代の夏たちを、記憶もひっくるめて同時に体験するかのような、強烈な錯覚を起こさせる。オーストラリアからやってきたジェームズ・マコーレーと一緒に作ったこの曲には、そんな夏の錯覚の中に見たこと、考えた事をはめ込んでみた。夏の海辺、水面に反射する光が眩しくて目を薄めていたら、いつの間にかあなたと私の境目もわからなくなっていた、そんな歌。さあ、今年の夏も、みなさんお疲れ様でした。
シングル「Happy Sad(feat.ermhoi)」収録。
シングル「Happy Sad(feat.ermhoi)」収録。
プロデューサー、シンガー ermhoi

日本とアイルランド双方にルーツを持ち、ジャンルを縦横し、制作活動を行う。近年はBlack Boboiのメンバーとしての活動や、石橋英子のサポートをしている。2015年にソロとして、ファーストアルバム『Junior Refugee』をリリース。’18年には小林うてな、julia shortreedとともにblack boboiを結成。’19年からは常田大希が率いるMillennium Paradeにも参加。ermhoiのバンド編成プロジェクト ermhoi with the Attention Pleaseでは、エレクトロで作られた音楽を生楽器で再構築している。’25年には第19回「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」日本館のテーマ音楽を担当。最新曲「Later」を配信中。