MUSIC 心地よい音楽を。

シンガーソングライター 浮 (ぶい) さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.4February 23, 2024

February.23 – February.29, 2024

Saturday Morning

Title.
Lugu Lugu Kan-lbi
Artist.
David Darling & The Wulu Bunun
布農族の人々の声と、人間の声に近いと言われるチェロの音が木を組んでいくように重なり合い、小さな炎を囲むような歌が聴こえてきます。たとえば、森の中に入ると、静けさの中に色んな音を見つけることができます。耳を澄ませば見えてくるもの、目を凝らすと聴こえてくるものを眼裏に投影してくれる音楽です。この音楽がどう素晴らしいのかを伝えるために言語化することがおこがましいと感じるくらい、その存在そのものが美しい音楽だと思います。そしてこのアルバムは、晴と褻のどちらにも祈りの歌があること、それがみんなのものであることを、思い出させてくれます。しっかり休息をとって自分と向き合いたい気分で迎える土曜日の朝に聴きたいです。
アルバム『Mudanin Kata』収録。

Sunday Night

Title.
Tonight
Artist.
Sibylle Baier
日曜日の夜を一週間の終わりだと捉えた場合、七日分、もしくはそれ以上の働きが体や頭に蓄積された状態になっていると思います。私は身体が丈夫なので、忙しいことが理由で体調を崩すことはほとんどないのですが、代わりに疲れすぎると涙が出ます。疲れている時には視野が狭くなってしまうし、視野が狭いせいでわからないことが増え、わからないことが恐ろしくなり、その恐ろしさが対象のない憤りに変わります。この曲を聴くと、自分から沸いて出たとは思いたくない嫌な感情を優しく紐解いて、自分から遠ざけてくれます。海の底から見上げた空の佇まいのような曲です。歌詞を読むと、どちらかというと平日のイメージかなと思ったりしたのですが、この曲は身体の中の空気を入れ替えて、新しい一週間の始まりの朝を感謝の気持ちとともに迎えられそうな力をくれるので、日曜日の夜に手元にあって欲しいと思って選びました。
アルバム『Colour Green』収録。

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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シンガーソングライター 浮 (ぶい)

米山ミサのソロプロジェクト。2018年頃より、ガットギターの弾き語りで活動を開始。2020年、1st Album『三度見る』をリリース。2021年、コントラバス奏者の服部将典、ドラマー藤巻鉄郎とトリオ”浮と港”を結成。同メンバーにゲストを迎え、2022年に2nd Album『あかるいくらい』を〈Sweet Dreams Press〉よりリリース。以後、全国各地を巡り歌っている。Photo : Momoka Omote

sandmiru.my.canva.site

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