BOOK 本と言葉。

本屋が届けるベターライフブックス。『流れのほとり』神沢利子 著 瀬川康男 画 (福音館書店) 選・文 / エトセトラブックスBOOKSHOP / August 25, 2022

This Month Theme女性の生き方を考える本。

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『くまの子ウーフ』などの児童文学で知られる著者の自伝的作品で、炭鉱技師の父親の赴任地である樺太で過ごした幼少期を綴る。北方民族との交流や大自然の描写も魅力だが、読んでみると思いがけず、主人公の麻子が周囲を観察しながら「女性」について考える様子に惹き込まれる。
父の言動に振り回される母、長男というだけで甘やかされる兄。身体の成長とともに大人しくなってしまう、凛々しかった姉。華やかに化粧した置屋の女たちを蔑む人々への疑問。ひとり自然のなかでくつろぐ時間に、通りすがりの男たちから卑猥な言葉を投げつけられ怖い思いをする場面……。
落馬し亡くなった近所の女性を「男の真似をするからだ」と言う男たちに「男だって馬から落ちるよ」と言い返しながら麻子は、「なぜ女はこんなに行動に制限が多く、体はからかいの対象になるのか」と問う。女学校に入学するところで終わるこの物語の終盤で、麻子が自分の生き方を決める場面は胸にせまる。幼いなりに社会に疑問をもち、考えてきたからこそたどり着いた言葉だろう。


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雑誌『エトセトラ』『フェミニズムはみんなのもの』など、フェミニズムに関する様々な本を届ける出版社「エトセトラブックス」が経営するフェミニストのための書店。 住所:東京都世田谷区代田4–10−18 ダイタビル1F 営業時間:12:00 - 20:00 定休日:月火水日 *時々、こちらの曜日に営業することもあるのでSNSにて確認を。

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