BOOK 本と言葉。
本屋が届けるベターライフブックス。 『百日紅(上・下)』杉浦日向子 著(ちくま文庫)選・文 / PEOPLE BOOK STORE / March 26, 2020
This Month Theme生き方にスタイルが感じられる本。
巻末の解説から言葉を借りれば、「仕事選ばず。何でもやる。なんでも描く」というスタイルで江戸後期に名を馳せた画師・葛飾北斎。その作業部屋兼住居はゴミだらけの万年床、犬だって駆けまわる。画業と共に奇矯な暮らし方も有名だった北斎と職住を共にしたのが三女のお栄(画号は応為)。彼女の存在が『百日紅』の重心になっている。全三十話からなる漫画を葛飾北斎の雑録集として読むのも悪くはないが、ときに女性の悲しみに寄り添うお栄の視点で作品世界を眺めてみると作者・杉浦日向子自身の人へのまなざし、かつてあった時代への憧憬をじわり、じわりと感じるはずだ。本作で杉浦が描き出したのは、ムラとムダのある人生を喜んだ江戸庶民の生き様ではないだろうか。
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茨城県・つくば市で古本を中心に新刊、写真集、アートブック、雑誌、ZINEとさまざまなジャンルの書籍を店主の植田 浩平さんがセレクト。つくば市内では、音楽イベントの開催も。人々が集い、コミュニケーションする場所として支持を集めている。
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