PEOPLE BOOK STORE — PEOPLE BOOK STORE | & Premium (アンド プレミアム)

& Premium (アンド プレミアム)

PEOPLE BOOK STORE PEOPLE BOOK STORE


選・文 / PEOPLE BOOK STORE / April 16, 2020 本屋が届けるベターライフブックス。『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』ジェレミー・マーサー 著 市川恵里 訳 (河出書房新社)

DAB1B7E4-534D-4CBB-B126-8AA53EB866D8

若き日の冒険、探究を経て社会主義者・無神論者・平和主義者となったアメリカ人、ジョージ・ホイットマンがパリに開いたのが〈シェイクスピア&カンパニー〉だ(開店時の店名は〈ル・ミストラル〉)。行き場を失った旅人、作家に宿と食事を提供してきたことで知られる伝説的な書店での日々を描いた本書を読めば、店とは小規模であれ“自治区”であると気がつくだろう。自身の書店を経営するのではなく運動体として維持したジョージはかつてこう語った。「できるだけ少ない金で暮らして、家族と一緒に過ごしたり、トルストイを読んだり、本屋をやったりすればいいじゃないか」。自分はこの言葉を糧にして、実際に小さな書店を営んでいる。


選・文 / PEOPLE BOOK STORE / April 09, 2020 本屋が届けるベターライフブックス。『詩人の旅』田村隆一 著(中公文庫)

C6BA6433-A499-4534-8C59-194C42713366

三日酔いの朝に、枕元にあるウイスキーをひっかける。オンザロックで体温を上げるウイスキー体操もかかさない。駅のプラットフォームでビールを飲みながら、人を待つ。朝七時、フェリー内の食堂でアルコールは出せないと断られ「大マジメのコンコンチキ・フェリー」と毒づく。詩人・田村隆一の旅はお気楽だ。北海道から沖縄まで、のらりくらり。どこでだって酒を飲む。「別にかっこよく旅するんじゃない」という考えの元、各地で会う人、同行者と共に酒を飲み語らった。移動の見返りを求めずに、確たる目的もなく旅行するのが難しくなった今こそ、この詩人の言葉が必要だろう。「紳士、淑女にもの申す。『よく遊び、よく遊べ!』」。


選・文 / PEOPLE BOOK STORE / April 02, 2020 本屋が届けるベターライフブックス。
『あちゃらかぱいッ』色川武大 著(文春文庫)

23742BCC-4B23-489D-ACA6-ADD3EC4DBB5A

「いいじゃねえか——。好きに生きて好きに死んだんだ。他人(はた)がアヤつけることはねえ。幕がおりておめでてえや」。かつて生活、仕事を共にし夫婦に近い関係だったこともある踊り子・滝洋子(ストリッパーとしての芸名はヘレン滝)の訃報に接した際の土屋伍一の言葉である。その伍一自身、並はずれた漁色家でありフーテンのような生き方をつらぬいた浅草の芸人だった。好きに生きて、好きに死ぬ。誰にも等しく自由が付与された現代の社会で、最も難しいであろうことを実践した浅草六区の芸人たち。その、変な連中たちの死に様にまでまなざしを送った作家による、愛にあふれた回想録。
※写真は文春文庫。現在は河出文庫で購入可能。


選・文 / PEOPLE BOOK STORE / March 26, 2020 本屋が届けるベターライフブックス。
『百日紅(上・下)』杉浦日向子 著(ちくま文庫)

巻末の解説から言葉を借りれば、「仕事選ばず。何でもやる。なんでも描く」というスタイルで江戸後期に名を馳せた画師・葛飾北斎。その作業部屋兼住居はゴミだらけの万年床、犬だって駆けまわる。画業と共に奇矯な暮らし方も有名だった北斎と職住を共にしたのが三女のお栄(画号は応為)。彼女の存在が『百日紅』の重心になっている。全三十話からなる漫画を葛飾北斎の雑録集として読むのも悪くはないが、ときに女性の悲しみに寄り添うお栄の視点で作品世界を眺めてみると作者・杉浦日向子自身の人へのまなざし、かつてあった時代への憧憬をじわり、じわりと感じるはずだ。本作で杉浦が描き出したのは、ムラとムダのある人生を喜んだ江戸庶民の生き様ではないだろうか。


PEOPLE BOOK STORE PEOPLE BOOK STORE

茨城県・つくば市で古本を中心に新刊、写真集、アートブック、雑誌、ZINEとさまざまなジャンルの書籍を店主の植田 浩平さんがセレクト。つくば市内では、音楽イベントの開催も。人々が集い、コミュニケーションする場所として支持を集めている。
住所:茨城県つくば市天久保3-21-3星谷ビル1-E
営業時間:火〜土曜日15:00-21:00、日曜日13:00-20:00 
定休日:月曜 
http://people-maga-zine.blogspot.com/