BOOK 本と言葉。
『境界線13』頭山ゆう紀(赤々舎) 選・文/LVDB BOOKSBook 109 / March 30, 2018
This Month Themeスタイルのある女性の本。
頭山ゆう紀の写真集『境界線13』のタイトルに含まれる「境界線」という言葉を「Borderline」だと思っていた。あらためて本書奥付の英文を確認すると「Line13」ときっぱりと表記されていた。紐のように繊細な線が静かに紙面に浮上する。こことよそを分かつ線はあまりに不明瞭でだれもがふとしたはずみで足を踏み入れてしまいそうだ。境界線という言葉によって通常喚起される彼岸の領域ではなく、より親密な内側の縁にこの写真集はわたしたちを呼び込む。雨が降る幹線道路、畳のイグサ、動物園のキリンの檻に張られたロープ、切り落とされた髪の毛……直線的に伸びるものの境界。荷物を引きずりながら駅のプラットフォームに向けて一段ずつ階段を下る小学生の背中。
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