日本の美しい町を旅する。
新鮮で豊かな、京都の”海”を望む京丹後へ。: &Kyoto Special 古都から北へ、京丹後を巡る小さな旅。vol.1August 11, 2023
京都府最北端に位置する京丹後を車で巡る、さんぽ部スペシャル版。絶景と地の恵みを満喫したい。
日本海に面した景色が新鮮な、 もうひとつの京都の豊かさ。
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6つの町が2004年に合併して誕生した京丹後市。京都市内からは京都縦貫自動車道~山陰近畿自動車道を利用し、沓掛ICから京丹後大宮ICまでの所要時間は約1時間30分。立岩や久美浜エリアまでは、それぞれ約30分ほど。峰山や網野、久美浜へは京都丹後鉄道宮豊線を利用することも可能。本数は少ないので注意を。
文・写真/大和まこ
「京都さんぽ部」部長。京都に暮らして25年、現在は下京区在住。雑誌を中心にライター、コーディネーターとして活動。
京都市内から、ひと足延ばして北へ。日本海に面した京丹後は、新たな京都を知るための小さな旅にちょうどいい。今回はさんぽ部スペシャル版としてドライブで巡りたい。
素材も作り手も豊かな、 京丹後の味を目指して。
同じ京都でも遠い印象の強かった丹後半島。高速道路が少しずつ整備されて日本海まで出るのに2時間ほどになった現在は、思い立って日帰りで出かけられるようになった。となれば目的にしたい場所はいくつもある。真っ先に思い浮かぶのは、山あいの弥栄町にある『農家パン 弥栄窯』だ。店主の太田光軌さんが石臼で小麦を碾(ひ)き、大きな木桶で手ごねし、薪窯を使って焼き上げるパンは他に代え難い存在感。とりわけ外側がガリッと香ばしく、噛むごとにバターと粉の味が口に広がる焼きたてのブリオッシュは、思い出すとどうしても食べたくなる。とはいえ直接買えるのは土曜日のみの完全予約制。そこは心に留めて向かいたい。
農家パン 弥栄窯
Farmer’s Bakery Yasakagama
京丹後市弥栄町野間来見谷 ☎09029381019 販売は土曜のみ。工房ほか市内4 か所で受け取り可。完全予約制。工房への道順や予約の詳細はHPで確認を。
『魚菜料理 縄屋』は2006年の開業以来、多くの食通を丹後へと足を運ばせる日本料理店。店主の吉岡幸宣さんが作るのは、自家菜園の無農薬野菜と魚介やジビエなどの地の恵み、地元で作られる調味料を使い、この地を味わうべく仕立てた料理だ。’20年には薪窯を取り入れ、ほぼすべての料理を薪火で仕上げるスタイルへと進化。京丹後産コシヒカリの煮えばなのご飯から始まるコースで、丹後の恵みを満喫させてくれる。
魚菜料理 縄屋
Sakanaryori Nawaya
京丹後市弥栄町黒部2517 ☎0772652127 12:00(11:45入店)~と18:30(18:15入店)~ 各一斉スタート 火水休ほか不定休 完全予約制。ネット予約がベター。詳細はHPで確認を。
そしてもう一軒、『キコリ谷テラス』も弥栄で欠かすことのできない存在。店主の稲鍵佐代子さんが夫の大場亮太さんと営むのが「有機栽培であることはもちろん、何より食べておいしい野菜」を育てる『SORA農園』。その野菜を食べてもらえる場として、’17年に開いた直売所カフェが『キコリ谷テラス』という流れ。「地元の人は丹後には何にもないと言うけれど、宝物が見えてないだけじゃないかな。ワクワクさせてくれる人も、おいしい食べものも、いっぱいあるんです」と稲鍵さん。庭や山に作られた席に座り、鳥の声を聞きながら、野菜やハーブを味わう時間が贅沢だと実感するひとときだ。
キコリ谷テラス
Kikoridani Terrace
京丹後市弥栄町船木407 ☎0772663210 11:00~16:00 土日10:00~17:00 月~木休
この記事は京丹後の旅を紹介するvol.1です。
Vol.2はこちらから。
Vol.3はこちらから。
illustration : Junichi Koka edit & text : Mako Yamato cooperation : 公益社団法人京都府観光連盟