台湾スイーツ食べ比べ

ふわっと滑らか! 独特な食感の新感覚かき氷。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】September 16, 2024

 厳しい暑さが続く台湾の夏。冷たいデザートはバラエティに富んでおり、多くの選択肢がある。そのなかの一つが「泡泡冰」。これはお碗の中に氷と材料(フルーツジャムやピーナッツバターなど)を入れ、素早くスプーンでかき混ぜたもの。ふわふわになる様子が泡立っているように見えることから「泡泡冰」と名付けられた。発祥は台湾北部の港町・基隆といわれ、かき氷店の店主が具材をかき混ぜながら食べる客人の姿を見て、ヒントを得たという。今回紹介する『遠東泡泡冰』は3代目が作り方を一新し、材料にはジャムではなく、新鮮なフルーツそのものを用いているのが自慢。もう一軒は台北市内の士林・華榮市場近くにある『以利泡泡冰』。作り方や味わい、舌触りがそれぞれ異なるのが面白い。
台湾版ジェラート、泡泡冰 (パオパオピン) 。<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

泡泡冰の革命児! 素材にこだわる名店の味。

  台北市内からバスで約30分の距離にある基隆。ここは観光客で賑わう「基隆廟口夜市」から徒歩3分の場所にある名店だ。3代目の石怡蕙さんによれば、2006年に移転した際は商売がうまくいかず、苦しい日々が続いたという。しかし、試行錯誤を重ねるなか、材料に厳選した台湾産のフルーツを用いることを思いつく。さらにコストを度外視し、よりフルーツの味わいが楽しめるレシピへと改良。添加物や香料は用いず、素材本来の濃厚な風味が感じられる逸品が完成した。人気の花生(ピーナッツ)味やカスタード味を含め、約9種類を販売。写真は屏東県産のマンゴー、台中産の巨峰、南投県産のパッションフルーツを用いたもの。これを目当てに基隆を訪れるだけの価値は十分にある。

遠東泡泡冰
ユエントンパオパオピン

基隆市仁愛區仁三路5號 ☎02−2423−4583 10:00~23:00(冬季は10:30~22:30) 無休 1個60元。表面を平らにならした状態で提供。

遠東泡泡冰ユエントンパオパオピン
台湾版ジェラート、泡泡冰 (パオパオピン) 。<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

昔懐かしい風情が漂う街で愛される名店。

  華榮市場はMRT士林駅の近くにある賑やかな伝統市場。ここの入り口脇に位置するのが『以利泡泡冰』だ。かつては基隆で営業していたが、46年前に移転し、現在は2代目が切り盛りする。名実ともに士林を代表する店で、子ども時代の思い出として、誰もが懐かしむ存在となっている。マンゴーやパイナップル、プラム(烏梅)、タロイモなど10種類を販売し、写真左の花豆入りのピーナッツ味が看板商品。自家製のピーナッツ粉を使用し、8時間以上煮込んだ花豆を加えている。滑らかな生地の中にざらりとした食感があり、飽きのこない風味となっている。店は2022年にリニューアル済み。本店以外に公館や台北駅裏のショッピングセンター『京站時尚廣場』内などに5店舗ある。

以利泡泡冰
イーリーパオパオピン

台北市士林區華榮街4號 ☎02−2832−7909 9:00~23:00 無休 1個55元。かき氷も販売している。写真右はカスタード味。

以利泡泡冰イーリーパオパオピン

文/片倉真理 
※この記事は、No. 130 2024年10月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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