台湾スイーツ食べ比べ

味も形も進化を続ける台湾のベビーカステラ。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】January 15, 2024

花生酥
 台北では街のあちらこちらで「雞蛋糕(チータンカオ)」という看板を目にする。これはいわゆるベビーカステラのことで、屋台だけではなく、店舗を構えた専門店も登場している。味や形は想像以上にバリエーションがあり、動物の形をしたものからバラの花、犬や猫の肉球、そしてロボット形など、手の込んだものもある。最近、話題を集めているのは台湾華語(台湾式中国語)独自の発音記号である「注音付號」をモチーフにしたもの。これは大稲埕にある『BOPOMOO 波波畝』というカフェで販売されている。また、台湾各地に店舗をもつ『魚刺人雞蛋糕』ではクリームをのせたものや、ティラミス餡、タロイモペースト餡など、変わり種が楽しめる。台湾らしい創意溢れるベビーカステラを食べ比べしてみたい。
台湾のベビーカステラ<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

声に出して読みたくなるベビーカステラ。

  店名は台湾で用いられる発音記号「注音付號」の頭4文字「bopomofo(ボポモファ)」に由来。それぞれ可愛らしい形をしており、全37種で構成されている。店では独自に焼き型を開発し、7種類の文字を組み合わせた言葉を毎月4種類販売。種類は月ごとに替わるが、写真の「我愛你(ウォーアイニイ)」(君を愛しているよ)は固定メニューで、カップルが愛の告白に使うこともあるとか。そのほか、子どもの誕生日パーティの際に「生日快樂(センズークワイラー)」(お誕生日おめでとう)をオーダーする人も少なくないという。開発を手がけたのはクリエイターのショーンとパートナーで音楽製作を手がけるモーニングの二人。「台湾らしさを表現したい」という思いが込められている。外はカリッと、中はふわっとした食感もたまらない。

BOPOMOO 波波畝
ボーポームー ボポム

台北市大同區南京西路239巷4號 ☎02−6605−7277 11:30~19:30(金土~20:00 日~19:00) 月休 写真は120元。クリームも自家製。

BOPOMOO 波波畝ボーポームー ボポム
台湾のベビーカステラ<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

ユニークなベビーカステラで世界を目指す店。

   台中発祥の人気ブランドで、全土に9店舗をもつ。幼少期からベビーカステラが大好物だったというオーナーの巫玠茗さんが「世界にベビーカステラを広めたい」と願い、立ち上げた。メニューは店舗によって異なるが、看板商品は巫さんの故郷である台湾中部の日月潭魚池産アッサム茶を用いたもので、ほのかに紅茶の風味が漂う。写真は「鹹鴨蛋黄流沙餡(シエンヤータンホワンリュウサーシエン)」で、アヒルの塩漬け卵で作ったカスタード餡が入っている。上にのっているのはクリームと自家製クッキー。面白いのはベビーカステラの型からはみ出した生地をわざと残していること。これは「カリッとした縁の部分がおいしい」という声に応えたもの。なお、台北師大店は戦前の老家屋を用いており、レトロな雰囲気に包まれている。

魚刺人雞蛋糕
ユィーツーレンチータンカオ

台北師大店/台北市中正區羅斯福路二段30巷13號 ☎02−2322−1718 10:30~19:00 無休 鹹鴨蛋黄流沙餡は120元。

魚刺人雞蛋糕ユィーツーレンチータンカオ

文/片倉真理 
※この記事は、No. 122 2024年2月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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