&EYES あの人が見つけたモノ、コト、ヒト。
主役じゃなくても、いつもそばにいる花。写真と文:齋藤拓磨 (花屋『Hljóð (ヒュウド) 』店主) #3November 19, 2025

茎が折れてしまった。
ごめん、ごめん。
せっかくきれいなのに、やってしまった。
毎日水を変えてあげていても、
どうしてもお花がくたっとしてしまうことがあります。
そんなときは、花瓶にもうまく入れてあげられないから、
ごめんねと思いながら、茎を切って、お皿に水を張って浮かべてあげます。
落とした茎をそっと添えるように置いてみたら、
上から見た時、そこでまた咲いてくれているように見えました。

遠くからでは気づかないと思うから、
玄関の棚や、行き交う人の視線の隅に、そっと置いてみます。
生の切花を置くには、水があって、
水を張るには器があって、
器を置くには机があって。
もしかしたら、主役はいつもお花じゃなくてもいいのかもしれません。
この日は、水と器が、お花をやさしく引き立ててくれているように見えました。
今日のお花は、誰かに見つけてもらえるのを、静かに待っています。
花屋『Hljóð(ヒュウド)』店主 齋藤 拓磨

さいとう・たくま/栃木県生まれ。建築設計事務所を経て、都内の花と古道具の店に携わる。2024年、東京・下落合に『Hljóð(ヒュウド)』を開く。「音」と「静けさ」を意味する言葉を店名に、季節の花や自然の移ろいを通して、人や場所を静かに繋ぐ時間をつくっている。
































