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みどりに染まる瀬戸内海の一枚。写真と文:村上章裕 (『水尾之路』店主) #3August 20, 2025

「静かにたたえるみどりの海の 潮のかおりの かよう窓べ」
(尾道市立重井小学校の校歌一節より)

あなたにとっての海の色は、何色でしょうか。
紺碧、マリンブルー、群青色……。

瀬戸内の島で育った私は、迷わずに「みどり色」と答えます。

ある時、『&Premium』の「& days」に映り込んだ大きな海の写真を見てから、いつか自室の壁に「私の海」の写真を掛けたいと願うようになりました。

下がりきらない微熱のように、その思いが頭の片隅で灯り続けていたのです。

思いがけず、突然にその写真と出合ったのは、幾分の時を経てここ尾道に移り住んでからのこと。近くで開かれていた写真家さんの個展にてでした。

みどりに染まる瀬戸内海の一枚。写真と文:村上章裕 (『水尾之路』店主) #3
みどりに染まる瀬戸内海の一枚。写真と文:村上章裕 (『水尾之路』店主) #3

翡翠色から青色のグラデーションで切り取られた凪いだ海と島は、たしかに私の記憶と重なりました。

この一枚と出合うきっかけをくれた、本と音楽の店『紙片』の寺岡さん。

個展作品とは異なる別サイズで、あらたに作品を作ってくださった写真家の石間秀耶さん。

ありがとうございました。

みどりに染まる瀬戸内海の一枚。写真と文:村上章裕 (『水尾之路』店主) #3

私の部屋にこの写真が来てから、半年。すっかり部屋の景色として馴染み、本日もここで静かに佇んでいます。

そして、私がかつて通った学び舎は、統合によって来春にはその役目を終えようとしています。

edit : Sayuri Otobe


『水尾之路』店主 村上 章裕

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むらかみ・あきひろ/広島県尾道市出身。大学卒業後アパレルブランドの店舗運営などを経て、2017年に地元尾道市でカフェ・1組限定宿『水尾之路』を開業。

instagram.com/mionomichi

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