&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

渡辺有子の料理教室_1年目7月「食欲のないときこそスパイスを」。September 14, 2024

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目7月のテーマは、「食欲のないときこそスパイスを」。3つのレシピを紹介します。

渡辺有子の料理教室 夏野菜と相性の良いスパイス。レモングラスやパクチーなどの香味野菜と一緒に料理して食欲アップ。
夏野菜と相性の良いスパイス。レモングラスやパクチーなどの香味野菜と一緒に料理して食欲アップ。

食欲のないときこそスパイスを。

先生:こう暑い日がつづくと食欲も落ち気味になりますね。直子さんは大丈夫?

生徒:なぜか食欲は増しています。でも、近頃はスパイスの効いたものばかり食べたくなっていて。辛味を欲しています!

先生:ずばり、今日の教室のメインは「ココナッツミルクのチキンカレー」です。

生徒:きゃー。夢を叶えてくれる先生だ!

先生:まずナスとズッキーニを縦半分にしてから薄切りにしましょう。玉ネギは縦4等分にしてから横に薄切りに。鶏もも肉は8〜10等分に切って粗塩をふっておきます。

生徒:赤唐辛子は縦半分にしてから薄切り。レモングラスは縦半分に切りました!

先生:ナスとズッキーニは水にさらしてアクを抜いておきます。

生徒:ズッキーニもさらす。メモメモ。

先生:ココナッツオイルは使ったことある? オイルを替えるだけでいつもと違う味になるの。今日はこれで玉ネギ、クミンシード、赤唐辛子、パクチーの根を炒めます。パクチーの根は割いて香りを出しましょう。

生徒:食欲をそそるいいにおいが〜。

先生:つづいて鶏肉、ナス、ズッキーニ、粗塩、カレー粉を入れてさらに炒め、フタをして3分ほど蒸して旨味が出るのを待ちましょう。この間に「レモンポテト」のジャガイモを仕込みますよ。皮をむいて8等分に切ったら水にさらして。水から茹でていきます。

生徒:3分経過。先生の手際の良さたるや! 

先生:カレーの鍋に水と切れ目を入れたコブミカンの葉、縦半分に切ったレモングラスを加えてまた3分ほど煮ます〜。

生徒:ちょっと切れ目を入れる。そのひと手間で食感や香りが変わるんですね!

先生:よく学べてる(笑)。次はご飯の準備よ。鍋に、洗って水気をきったジャスミンライスと水、クミンシード、フェンネルシードを入れて強火に。沸騰したら弱火で14分ね。

生徒:3分を無駄にしない先生です!

先生:さあ、カレーに戻りますよ。ココナッツミルクを注いで、粗塩を加えて味を調えます。ここで塩をしておかないと味が馴染まないので注意してね。フタをずらして閉めて、弱火で15〜20分ほど煮ましょう。

生徒:料理ってテンポの良さも必要ですね。

先生:自分のペースでやれば大丈夫よ〜と言いながら「レモンポテト」の準備をします(笑)。玉ネギ、ニンニク、ショウガをみじん切りにして。それとレモン汁を作っておくところまでやっておきましょう。

生徒:それが済んだら「白瓜とショウガのアチャール」の準備ですね。切ります!

先生:白瓜は皮をむいたら縦半分に切ってスプーンで種を取ります。ショウガは細切りにして。パクチーの葉は摘んで、茎は小口切りにするのがコツよ。ボウルに白瓜とショウガを入れて、粗塩をふってしばらく馴染ませてね。

生徒:ジャガイモ茹で上がってます!

先生:鍋にココナッツオイルを溶かして、ニンニク、ショウガ、玉ネギ、クミンシードを炒めます。ジャガイモを加えて粉ふきにして、粗塩を入れて溶かすように混ぜながら味を調えます。最後にレモン汁ね。アチャールも仕上げますよ。レモン汁、パクチーの茎を加えて全体を混ぜ、パクチーの葉を入れて完成。カレーはライムを添えたら出来上がりです。

生徒:手際を制するものは料理を制す!

1.ココナッツのチキンカレー

渡辺有子の料理教室 ココナッツミルクのチキンカレー
香りのものをココナッツオイルで炒めて、味のベースを作る。
香りのものをココナッツオイルで炒めて、味のベースを作る。
甘味のあるココナッツミルクを入れるタイミングで塩をして、味全体を調える。
甘味のあるココナッツミルクを入れるタイミングで塩をして、味全体を調える。
    ココナッツのチキンカレー
    〈材料〉作りやすい分量

    ナス…1本 
    ズッキーニ…1本 
    玉ネギ…1/2個 
    鶏もも肉…小2枚 
    粗塩…適量
    赤唐辛子(生)…1本 
    レモングラス(茎)…1本 
    パクチーの根…1〜2本分
    ココナッツオイル…大さじ1と1/2 
    クミンシード…小さじ1/2 
    カレー粉…小さじ2 
    水…100㎖ 
    コブミカンの葉…2〜3枚 
    ココナッツミルク…300㎖ 
    ライム…適量

    ジャスミンライス
    〈材料〉作りやすい分量

    ジャスミンライス…2合 
    水…360㎖ 
    クミンシード…1つまみ 
    フェンネルシード…1つまみ 

    〈作り方〉(ココナッツミルクのチキンカレー)
    1.ナスとズッキーニは縦半分に切り、5㎜幅の薄切りにし、水にさらす。玉ネギは縦4等分して横に薄切りに。鶏もも肉は8〜10等分に切り、粗塩をふる。赤唐辛子は縦半分に切り、薄切りに。レモングラスは縦半分に切る。パクチーの根は割いておく。

    2.鍋にココナッツオイルを溶かし、玉ネギ、クミンシード、赤唐辛子、パクチーの根を加えて炒め、鶏肉、ナス、ズッキーニ、粗塩、カレー粉を加えてさらに炒め、フタをして3分ほど蒸す。

    3.水、切れ目を入れたコブミカンの葉、縦半分に切ったレモングラスを加えて3分ほど煮て、ココナッツミルクを注ぐ。粗塩を加えて味を調え、フタをずらして弱火で15〜20分煮る。盛り付けの際にライムを添える。

    〈作り方〉(ジャスミンライス)
    1.ジャスミンライスはさっと洗って水気をきる

    2.鍋に1と水、クミンシード、フェンネルシードを加え、フタをして強火に。沸騰したら弱火で14分、火を止めて10分蒸らす。

2.レモンポテト

渡辺有子の料理教室 レモンポテト
ジャガイモは水から茹で、煮崩れ寸前くらいまでしっかり茹でる。
ジャガイモは水から茹で、煮崩れ寸前くらいまでしっかり茹でる。
炒めた香味野菜、玉ネギ、スパイスの中で粉ふきイモにしながら粗塩を溶かす。
炒めた香味野菜、玉ネギ、スパイスの中で粉ふきイモにしながら粗塩を溶かす。
    〈材料〉2〜3人分

    ジャガイモ…2個 
    玉ネギ…1/4個 
    ニンニク…1かけ 
    ショウガ…1かけ
    ココナッツオイル…大さじ1 
    クミンシード…小さじ1/2 
    粗塩…適量 
    レモン汁…大さじ1
    〈作り方〉
    1.ジャガイモは皮をむいて8等分に切ってから水にさらす。鍋に水(分量外)、ジャガイモを入れ、沸騰してから15分ほど軟らかくなるまで下茹でをして、ザルにあげる。

    2.玉ネギ、ニンニク、ショウガをみじん切りに。

    3.鍋にココナッツオイルを弱火で溶かし、ニンニク、ショウガ、玉ネギ、クミンシードを加えて焦げないように炒める。

    4.ジャガイモを加えて全体を混ぜながら粉ふきの状態にし、粗塩を加えて溶かすようにしながら味を調える。レモン汁を加えてざっと混ぜ合わせる。

3.白瓜とショウガのアチャール

渡辺有子の料理教室 白瓜とショウガのアチャール
ショウガは繊維に沿って細切りする。白瓜は皮と種を取ってパリパリの食感に。
ショウガは繊維に沿って細切りする。白瓜は皮と種を取ってパリパリの食感に。
白瓜とショウガは、ボウルの中でしばらく塩と馴染ませてから仕上げるとよい。
白瓜とショウガは、ボウルの中でしばらく塩と馴染ませてから仕上げるとよい。
    〈材料〉作りやすい分量

    白瓜…1本 
    ショウガ(新生姜)…大2かけ 
    パクチー…1本 
    粗塩…適量
    レモン汁…大さじ1
    〈作り方〉
    1.白瓜は皮をむき、縦半分に切りスプーンで種を取って一口大に切る。ショウガは細切りにする。パクチーの葉は摘み、茎は小口切りにする。

    2.ボウルに白瓜とショウガを入れ、粗塩をふってしばらく馴染ませる。

    3.レモン汁、パクチーの茎を加えて全体を混ぜ、パクチーの葉を加える。

渡辺有子の料理教室 カレーに入れるコブミカンの葉には切れ目を。アチャールのパクチーは茎だけ小口切りに。こうした小さな手間がおいしさにつながる。
カレーに入れるコブミカンの葉には切れ目を。アチャールのパクチーは茎だけ小口切りに。こうした小さな手間がおいしさにつながる。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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