&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「粉と水で皮から作る水餃子」渡辺有子の料理教室_1年目9月September 28, 2024
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目9月のテーマは、「粉と水で皮から作る水餃子」。3つのレシピを紹介します。
粉と水で皮から作る水餃子。
先生:ねえ直子さん、つかぬことを聞くけど、〝餃子パーティ〟ってしたことある?
生徒:もちろんです! 餃子というだけでみんな喜んでくれますし。
先生:どうして餃子には“パーティ”を付けたくなるのかしら?
生徒:包むところからみんなでワイワイ作業して、イベント感があるからですかね。
先生:そういうことなのね〜。今回は「皮から作る水餃子」の教室なので、覚えておくと餃子パーティがさらに盛り上がるはずよ。
生徒:少々ハードルは高そうですが。
先生:餃子の皮は、強力粉と水さえあれば簡単にできるの。楽しいわよ〜。
生徒:がぜんやる気になりました!
先生:では皮作りから始めましょう。ボウルに強力粉を入れて、水を少しずつ加えながら菜箸で混ぜていきます。生地がまとまってきたら打ち粉をした台の上で、なめらかになるまでよくこねます。乾かないようにボウルをかぶせて、30分ほど休ませましょう。
生徒:思いのほか簡単でした。
先生:まだ前半戦よ〜。この間にタネを仕込みます。まずは豚バラ肉を細かく切る。
生徒:え! 挽き肉じゃないんですか?
先生:豚バラ肉を使ったほうが旨味が増すの。豆苗、キャベツはみじん切り。ショウガはみじん切りと薄切りに。キャベツは塩をなじませて、水気が出たらよく絞ります。
生徒:豚バラ肉とみじん切りにした野菜をボウルに入れて、塩、醤油、酒、きび砂糖、胡麻油を加えて菜箸で混ぜ合わせる……と。あらっ、タネは練らないんですね!
先生:ハンバーグと違って餃子は混ぜるだけで十分なの。さあ、副菜の準備をしますよ。
生徒:「揚げサツマイモの練乳がけ」と「インゲンとザーサイの和えもの」。おいしそう!
先生:サツマイモはスティック状に切って水にさらしておきます。インゲンはヘタを切って、ザーサイは水につけて塩抜きしておいてね。野菜は素揚げしていきます。
生徒:揚げ油は同じでいいのでしょうか?
先生:もちろん。
生徒:ばんざ〜い。水気を拭いてから、サツマイモ、インゲンの順で揚げていきます!
先生:サツマイモは油をきって、熱いうちに粗塩をふります。インゲンも油をよくきって。バジルの葉もさっと素揚げしておいてね。
生徒:餃子の生地もいい感じです!
先生:生地は4等分にして丸い棒状にのばしましょう。包丁で6〜7等分に切って、打ち粉をした台にのせて麺棒で丸く薄くのばします。包むときに皮を合わせるので、端のほうを薄く仕上げるのがコツです。
生徒:端を薄くするの、やや腕が必要です。
先生:これは慣れるしかないの。皮を仕込み終えたら、薄切りにしたショウガを鍋に入れてお湯を沸かします。のばした皮にタネをのせて包んだら沸騰したお湯に落として、餃子が浮いてから2分ほどで茹で上げてね。
生徒:先生、副菜2品の仕上げを!
先生:ボウルにインゲン、ザーサイ、醤油を加えて全体を混ぜ合わせ、バジルの葉も加えて和えたら出来上がり。サツマイモは器に盛って、コンデンスミルクをかけてから粗挽き唐辛子をふってね。甘いのとしょっぱいの、2つの副菜が水餃子と合いますよ。
生徒:さっそく餃子パーティ開かなきゃ。
1.豆苗の水餃子
〈材料〉24〜28個分
豚バラ肉…160g
豆苗…1/2束
キャベツ…1/3個(300g)
ショウガ…大2かけ
強力粉…200g
水…100〜120㎖
塩…小さじ1/3
醤油…大さじ1
酒…大さじ1
きび砂糖…小さじ1/2
胡麻油…小さじ1
酢…適量
白胡椒…適量
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〈作り方〉
1.ボウルに強力粉を入れ、水を少しずつ加えながら菜箸で混ぜていく。生地がまとまってきたら打ち粉(分量外)をした台に出し、しっとりとなめらかになるまでよくこねる。ボウルをかぶせて乾かないように、 30分ほど休ませる。
2.豚バラ肉は細かく切る。豆苗、キャベツをみじん切りにする。ショウガは2/3量をみじん切り、1/3は薄切りにする。キャベツは塩小さじ1/5(分量外)をふってしばらくなじませ、水気が出たらしっかりと絞る。
3.ボウルに薄切りにしたショウガ以外の2を入れ、塩、醤油、酒、きび砂糖を加えて菜箸で混ぜ合わせる。胡麻油をたらし、さらに混ぜる。
4.休ませておいた生地を4等分にし、手で転がしながら丸い棒状にのばし、包丁などで6〜7等分に切る。打ち粉をした台の上で麺棒を使って丸く薄くのばす。
5.鍋に薄切りにしたショウガを入れてお湯を沸かしはじめる。
6.のばした水餃子の皮に3のタネを適量のせて、包む。沸騰した5に落とし、餃子が浮いてきたらさらに2分ほど茹でる。
7.つけダレの酢に白胡椒を挽く。
2.インゲンとザーサイの和えもの
〈材料〉2〜3人分
インゲン…2袋(30本)
ザーサイ…50g
揚げ油…適量
バジルの葉…8枚
醤油…小さじ1
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〈作り方〉
1.インゲンはヘタを切る。ザーサイは水につけて30分ほど塩抜きをし、水気を拭いて粗めのみじん切りにする。
2.フライパンに揚げ油を中温に熱し、インゲンを加えて素揚げにする。油をしっかりきってペーパーで軽くおさえる。 バジルの葉も素揚げにする。
3.ボウルに素揚げにしたインゲン、ザーサイ、醤油を加えて全体を混ぜ合わせ、バジルの葉も加えて和える。
3.揚げサツマイモの練乳がけ
〈材料〉2〜3人分
サツマイモ…大1本
揚げ油…適量
粗塩…適量
コンデンスミルク…大さじ1〜好みの量
粗挽き唐辛子…適量
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〈作り方〉
1.サツマイモは長さを3等分に切り、縦3等分、さらに縦3等分し、スティック状に切ったら水にさらす。水気をきり、ペーパーでしっかり拭く。
2.フライパンに揚げ油を低温に熱し、サツマイモを入れて火が通るまでゆっくり揚げる。油をきり、熱いうちに粗塩をふる。
3.器に盛り、コンデンスミルクをかけ、粗挽き唐辛子を好みの量ふる。
渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。
吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida