&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「初夏はサンドイッチで軽やかに」渡辺有子の料理教室_1年目4月August 24, 2024
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目4月のテーマは、「初夏はサンドイッチで軽やかに」。4つのレシピを紹介します。
初夏はサンドイッチで軽やかに。
先生:前回は和食を下処理から学ぶしっかりめの教室でしたが、直子さん、ちゃんとついてこられたかしら?
生徒:はい! ずっとハードルが高いと思い込んでいたフキの下処理が学べて、フキが身近に感じられるようになりました!
先生:それなら良かった。今日はサンドイッチの教室なので、気軽にのんびりいきましょう。スープとマリネも簡単ですよ。
生徒:バンザ〜イ!
先生:サンドイッチといえども料理のコツはあるのよ。ハーブやスパイスを足すだけの、ほんの少しのことでグッと味わいが変わる。その楽しさを体験してもらいたいんです。
生徒:はりきっていきます!
先生:では最初にマリネを仕込んでおきましょう。パプリカはオーブンで焦げ目がつくまで焼いて皮をむきます。トマトは湯むきしてください。キュウリは皮をむいてからスプーンで種を取り除きます。皮と種を取るだけで別の野菜のような食感になるんですよ。
生徒:キュウリの新たな面を知りました。
先生:つづいて、かつおだしと赤ワインビネガー、きび砂糖と塩、オリーブオイルをボウルで合わせ、その中に下準備した野菜とタイムを入れて1〜2時間冷蔵庫で寝かします。
生徒:これで「初夏のマリネ」の準備は完了ですね。それにしても、ゴクゴク飲みたくなりそうなマリネ液。試食が楽しみです!
先生:おいしいわよ〜(笑)。次は「新ジャガのさらさらポタージュ」を作りましょう。新ジャガは皮も柔らかいので、むかずに使います。2㎝角に切ったら水にさらしておいてね。新玉ネギはみじん切りにしますよ。
生徒:みじん切りならおまかせください!
先生:切り終わったら、鍋にバターを溶かして新玉ネギを炒めてね。しんなりしたら新ジャガを加えて粗塩をふります。つづいて水を加えてフタをして、弱火で10分煮ましょう。
生徒:カレー作りみたいで親しみがあります。
先生:新ジャガが軟らかくなったら木べらでつぶして、牛乳を注いで温めます。最後に味をみて足りなければ、粗塩、白胡椒で調整して完成です。ね、簡単でしょ?
生徒:ものすごく(笑)。
先生:それでは本日の主役にいきましょう。
生徒:伊丹十三の『女たちよ!』に出てきたキュウリサンドが忘れられず。「キュウリとディルのサンドイッチ」が楽しみで!
先生:イギリスでは定番の味ですものね。
生徒:キュウリはピーラーで薄くスライス。長いままやって半分に切るのがコツですね。
先生:食パンの片面にバター、片面にマヨネーズを塗ります。バターを塗った食パンにキュウリを少しずつずらしてのせます。これが食感につながるので上手に重ねましょう。最後にディルを散らしてサンドしてください。ディルを加えると味に広がりが出ますよ。
生徒:「ハムチーズとクミンのサンドイッチ」も作り方は同じですか?
先生:ほとんど一緒なんだけど、片面バター、片面はフレンチマスタードを塗ります。
生徒:おいしそぉ。こちらはハムとチーズをのせてからクミンシードをふるんですね。
先生:すべてはさみ終えたら固く絞ったペーパーでくるんで軽く重しをしてください。パンの乾燥も防げるし、味も馴染みます。
生徒:乾く前に食べ終わっちゃいそう!
1.キュウリとディルのサンドイッチ & ハムチーズとクミンのサンドイッチ
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キュウリとディルのサンドイッチ
〈材料〉2人分
胚芽食パン(10~12枚切り)… 6枚
キュウリ… 1と1/2本
ディル… 2~3本
バター…15g
マヨネーズ…36g
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〈作り方〉
1.キュウリは長いまま、ピーラーで縦に薄くスライスし、半分の長さに切る。ディルは柔らかい葉の部分を摘む。
2.食パンの片面にバターを塗り、もう一枚はマヨネーズを塗る。
3.バターを塗った食パンに、キュウリを少しずつずらして重ねるようにのせ、ディルを散らしてマヨネーズを塗った食パンでサンドする。
4.3のパンを固く絞ったキッチンペーパーなどで覆い、カッティングボードなどをのせて全体を馴染ませてから食べやすい大きさに切る。
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ハムチーズとクミンのサンドイッチ
〈材料〉2人分
食パン(10~12枚切り)… 6枚
ハム… 3枚
チーズ(エメンタールなど)… 3枚
バター…15g
フレンチマスタード…大さじ1
クミンシード…適量
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〈作り方〉
1.食パンの片面にバターを塗り、もう一枚の片面にフレンチマスタードを塗る。
2.バターを塗った食パンにハム、チーズをのせ、クミンをふってフレンチマスタードを塗ったパンでサンドする。
3.2のパンを固く絞ったキッチンペーパーなどで覆い、カッティングボードなどをのせて全体を馴染ませてから食べやすい大きさに切る。
2.新ジャガのさらさらポタージュ
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〈材料〉2〜3人分
新ジャガ… 4個(300g)
新玉ネギ… 1個(160g)
バター…15g
粗塩…適量
水…300㎖
牛乳…200㎖
白胡椒…適宜
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〈作り方〉
1.新ジャガは皮付きのまま2㎝角に切り、水にさらしておく。新玉ネギはみじん切りにする。
2.鍋にバターを溶かし、新玉ネギを炒めてしんなりしてきたら新ジャガを加えて粗塩をふり、水を加えてフタをして弱火で10分煮る。
3.軟らかくなった新ジャガを木べらなどでつぶし、牛乳を注いで温め、味をみて足りなければ、粗塩、白胡椒で味を調整する。
3.初夏のマリネ
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〈材料〉作りやすい分量
パプリカ(赤・黄)…各1個
フルーツトマト… 4個
キュウリ… 1本
かつおだし…300㎖
赤ワインビネガー…大さじ1と1/2
きび砂糖…小さじ1と1/2
塩…小さじ2弱
オリーブオイル…適量
タイム… 2本
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〈作り方〉
1.パプリカは250℃のオーブンで全体に焦げ目がつくように焼き、粗熱が取れたら皮をむく。フルーツトマトはヘタを取り、十字に切り込みを入れ、さっと湯通しして冷水に取り、皮をむく。キュウリは皮をむき、縦半分にしてスプーンなどで種を取り除き、斜め棒状に切る。
2.ボウルに冷ましたかつおだし、赤ワインビネガー、きび砂糖、塩、オリーブオイルを加えて合わせておく。
3.バットにパプリカ、フルーツトマト、キュウリ、タイムを入れ、2 を注いで冷蔵庫で1時間以上マリネする。
渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。
吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida