&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「おいしい和食で”春を食べる”」渡辺有子の料理教室_1年目3月August 17, 2024
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目3月のテーマは、「おいしい和食で春を食べる」。3つのレシピを紹介します。
おいしい和食で「春を食べる」。
先生:この教室も3回目。読者の方からも、作ったという声をいただけてうれしいですね。
生徒:はい! それと私事ですが、有子先生の教室に参加してたら、以前より少しだけ段取りよく料理ができるようになったんです。
先生:あら直子さんてば、幸先いい話ね〜。今月のテーマは「春を食べる」です。芽吹きの季節。気持ちも新たに春の野菜で和食を作りましょう!「フキの炊き込みごはん」から仕込みますよ。
生徒:フキの下処理やります! お鍋の長さに切り揃えて塩をしたら板ずりですね。
先生:ここで大切なのがお鍋に火をかけて、お湯が沸いてから板ずりを始めること。すぐにお湯に入れないとアクが出るの。
生徒:なるほど。ゴリゴリしてたら良い香りがしてきました。これが完了の合図ですね。
先生:そうなの。ちゃんと下処理しておくと、さっと茹でて水に取るだけで無理なくするっと筋がむけるんです。続いて「春のグリーンの和えもの」の準備を始めましょう。
生徒:まずはスナップエンドウの筋取りから。これ、いつも適当にやっているので、正しいやり方を目に焼き付けて帰ります!
先生:まず内側の筋を下からスッと取り、ヘタを外してそのまま外側まで一気にいけば、きれいに筋取りできますよ。
生徒:わ、本当だ。上手に取れて楽しい〜。
先生:絹さやも同じ要領で下処理すればいいんだけど、最近のものは筋があまりないのでヘタを取るだけでもいいかな。こごみは丸まっているところをよく洗ってね。
生徒:スナップエンドウ、こごみ、絹さや。素材ごとに時間差で蒸していくんですね。
先生:そう。蒸したら水には取らないで、盆ザルなどに広げて蒸気を上げて自然に冷まします。水っぽくしないためのコツです。
生徒:グリーンがすべて蒸し上がりました!
先生:スナップエンドウはさやを2つに開けて和え衣と絡みやすくさせてね。さあ、ごはんの支度に戻るわよ。だしに酒、みりん、薄口醤油を入れひと煮立ちさせ、生姜と油揚げを3分煮たらフキを加えて1分。具はザルに取り、煮汁でお米を炊きます。煮汁の塩分がお米の吸水の邪魔をするけど、といだお米の水気をしっかりきると水を吸いやすくなるの。
生徒:あら〜。先生ったら知恵袋。
先生:煮汁は少し冷ましてから、お水と合わせて2合分にしてお米に加えてね。炊き上がり間近に揚げ物をスタートさせますよ。
生徒:「鯛のハーブ唐揚げ」。待ってました!
先生:鯛は1切れを3等分にして軽く塩をして、水分が出たらすぐに拭いて、薄力粉と片栗粉、ビールをボウルの中でさっと混ぜて、チャービルとディルの葉を加えてください。鯛にこの衣をつけて軽めに揚げるんですが、一緒に山菜も揚げましょうか。
生徒:まさに「春を食べる」ですね!
先生:揚げた素材は、立てて油きりするとべちゃっとならないんですよ。
生徒:またひとつ学びました!
先生:さて、ごはんだわ。炊き上がって10分蒸らすんですが、最後の5分で具材を加えてください。和えものも仕上げましょう。ボウルにすり胡麻とおろした生姜、粗塩を入れて混ぜ、蒸したグリーンと木の芽を加えて胡麻油をまわしかけてざっと和えたら完成です。
生徒:有子先生、お疲れさまでした〜!
1.春のグリーンの和えもの
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〈材料〉2〜3人分
スナップエンドウ…10本
絹さや…24枚
こごみ… 6本
すり胡麻(白)… 大さじ4
生姜(すりおろし)… 1かけ分
粗塩…適量
木の芽…10枚
胡麻油…小さじ2
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〈作り方〉
1.スナップエンドウと絹さやは筋を取り、こごみは半分の長さに切る。
2.蒸気の上がった蒸し器にスナップエンドウを入れ、2 分経ったらこごみを入れ、1分半経ったら絹さやを入れて、1分蒸してザルにあげる。スナップエンドウは、さやを2つに開く。
3.ボウルにすり胡麻とすりおろした生姜、粗塩を入れて混ぜ合わせ、2と木の芽を加えて胡麻油をまわしかけ、ざっと和える。
2.鯛のハーブ唐揚げ
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〈材料〉2人分
鯛… 2切れ(200g)
薄力粉…大さじ3
片栗粉…大さじ1と1/2
ビール…大さじ5
チャービル… 2~3本
ディル… 2~3本
揚げ油…適量
粗塩…適量
スダチ… 1個
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〈作り方〉
1.鯛は3等分に切り、軽く塩(分量外)をしてからペーパーで水気を拭き取る。
2.ボウルに薄力粉、片栗粉、ビールを入れてさっと混ぜ、チャービルとディルはやわらかい葉の部分を刻んで加える。
3.フライパンに揚げ油をやや高めの中温に熱し、1の鯛を2の衣につけて色が良くなるまで香ばしく揚げ、油をしっかりきる。粗塩と半分に切ったスダチを添える(ふきのとうやたらの芽があれば一緒に揚げてもよい)。
3.フキの炊き込みごはん
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〈材料〉作りやすい分量
油揚げ… 1枚
生姜… 2かけ
フキ… 2本
だし…300㎖
A-酒…小さじ2
みりん…小さじ2
薄口醤油…大さじ1/2
米… 2合
塩…少々
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〈作り方〉
1.油揚げは油抜きして幅1㎝長さ3㎝の細切りに。生姜も細切りにする。
2.フキを下処理する。鍋に入る長さにフキを切り、鍋にたっぷりの湯を沸かす。湯が沸いたら塩(分量外)で板ずりしてさっと茹でる。水に取り、筋を取る。1㎝の小口切りにする。
3.別の鍋にだしとAの調味料を入れてひと煮立ちさせ、生姜と油揚げを中火弱で3分ほど煮て、フキを加えて1分煮る。ザルにあげて煮汁と分け、煮汁と分量外の水で2合分にする。
4.鍋に米と分量の水分を入れ、味をみて塩を加え、少し塩味を感じるようにする。フタをして中火にかける。噴いてきたら弱火にして14分炊き、火を止めて5分。3を手早く加えて5分蒸らす。
5.全体を混ぜ合わせ、器に盛る。
渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。
吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida