器を使うときに、 やらかしがちな7つのこと。 – Dos & Don’ts | Article | & Premium (アンド プレミアム)

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Dos & Don’ts / November 11, 2021 器を使うときに、 やらかしがちな7つのこと。

せっかく素敵な器を手に入れても、正しい扱いをしないと傷や破損の原因になることも。お気に入りの器を長く、大切に使うために。初心者がついうっかりやらかしがちなことと、なぜそれがいけないのかの理由を、器を扱うスタイリストの竹内万貴さんに教えてもらいました。
*2021年10月20日発売『&Premium』最新号「器を知る、学ぶ、楽しむ。」より。

 
NG1

陶器、ガラス、ウッドボウル……。
サイズが合うものはどんどん重ねる。

 
器の魅力に目覚めると、いろいろなサイズや形、素材のものが欲しくなる。とはいえ、そこまで大きな食器棚もないし、とりあえずどんどん重ねて収納しちゃえばいいか……。「器同士がぶつかり合うと割れや欠けの原因になります。とくに陶器の上にガラス、ガラスの上に金属など、異なる素材を重ねると傷つけ合うことが多いので避けたほうがいいでしょう。同じ素材のものを重ねておくと傷がつきにくく、見た目にもすっきり、器を探すのも楽になって、一石三鳥です。重ねる器と器の間に布巾や新聞をかませておくのもおすすめ。ガラスなど、とくに割れやすい素材のものや、片口など突起があるもの、繊細な装飾が施してあるものは全体を布巾でくるんでおくといいでしょう。食器棚の中にディッシュラックを設置して収納力をアップさせるのもいいアイデアですね。重ねる枚数を減らせますし、何より器を取り出しやすくなって、いろいろな器を使いたくなるはずです」

 
陶器、ガラス、ウッドボウル……。サイズが合うものはどんどん重ねる。
 
NG2
新しく器を買ってきた。
さっと洗って、今すぐ使おう!

 
一目惚れで買った素敵な器。家に帰ったらもう夕食の時間だし、そのまますぐに使っちゃおうっと! 「新しい器をすぐに暮らしに取り入れたい気持ちはわかりますが、素材によっては使う前にお手入れが必要なものがあるので確認を。とくに土が素材の陶器には目には見えない小さな穴(目)がたくさんあり、そのまま使うと料理や飲み物の水分が染み込んで色やにおいが取れなくなったり、亀裂が入ってしまったりすることも。それを防ぐために欠かせないのが”目止め”というお手入れです。鍋に器を入れ、かぶる程度までお米のとぎ汁を入れて15分ほど加熱。そのあとはそのまま冷ますだけです。こうすることでお米のでんぷん質が器の目を塞ぎ、変色やにおい移りがしにくくなります。陶器は経年変化の味わいである”貫入”が魅力ですが、目止めをすることで貫入がゆっくり、美しく入ります。気に入った器を長く、愛着を持って使うための、小さなひと手間ですね」
 
新しく器を買ってきた。さっと洗って、今すぐ使おう!
 
NG3
汚れを落としたいから、
スポンジでしっかり洗わなきゃ。

 
大切にしていた器が油でギトギトに! 洗剤をつけたスポンジでゴシゴシ洗おう……。「器を清潔に保つのは大切ですが、素材によっては注意が必要です。とくに漆器は傷がつきやすいので、研磨粒子が入っていないスポンジを使うことをおすすめします。その他の素材でも金彩や色絵、プリントが施されたものは、剥げたり色落ちしたりすることもあるので、研磨粒子が入っていない柔らかいスポンジで優しく洗ってください。茶渋など色が沈着しやすい陶器は漂白したくなりますが、漂白剤のにおいが染み込んでしまう可能性があるので注意しましょう。とくに貫入の入りやすい素焼きの陶器や釉薬のかかっていないものは要注意。金だわしやクレンザーは傷の原因になることが多いので、どんな素材でも使わないようにしましょう。食洗機については漆器や木製、金属など熱の影響を受けやすい素材のものや、振動で傷つきやすい繊細なデザインのものは避けてください」
 
汚れを落としたいから、スポンジでしっかり洗わなきゃ。
 
NG4
さっと布巾で拭いたあとは、
そのまま食器棚へ片付ける。

 
食後、器を洗って布巾でさっと拭いたら後片付けも終了。ちょっと濡れている部分もあるけど、このまま食器棚に戻しても、問題ないはず! 「これはどんな素材の器でもご法度です! 陶器や磁器、漆器は水分が残っているとカビやシミの原因になりますし、金属製の器は錆びてしまうことも。ガラスの器は水垢がついたり、曇ってしまったりします。器を洗ったあとはすぐに布巾で水分を拭き取り、新聞紙などを広げた机の上にしばらく置いてから食器棚に戻すのが理想です。乾いたかな?と思っても、高台の裏に水が溜まっていたりするので、裏側も触って確認を。裏が濡れたまま他の食器に重ねて収納すると、下の器にも水分が移ってカビの原因になります。あとは、釉薬がかかっていない部分はとくに乾きにくいので要チェックです。また、土鍋など直接火にかけるものも水分は大敵。濡れた状態で熱を加えると破損することがあるので注意してください」
 
さっと布巾で拭いたあとは、そのまま食器棚へ片付ける。
 
NG5
刺身、カレー、ミートソース……。
食べたいものを何でも盛り付けたい。

 
料理を盛り付けるのが器の楽しみ。"器"なんだから、どんな料理に使ってもいいですよね? 「もちろん好きに盛り付けてください。ただ、金属の器は酸によって変色することがあるので、酢を使う料理を長時間入れっぱなしにするのは避けましょう。素焼きの陶器は吸水性が高く、におい移りすることがあります。お刺身など生ものを盛り付けるときは一度水にくぐらせ、布巾で拭いてから使うように。吸水させることで、食材の水分が器の目に入っていかないようにするのです。素焼きの陶器は油分や色素も吸収してしまうことがあるので、カレーやミートソースなどは要注意。こってりした料理やスパイスを使うものは磁器が安心です。プラスチックも油や色素が移りやすいので、避けたほうが賢明。とはいえ、器は食を楽しむためのもの。神経質になりすぎず、多少のことは"味"と捉えるのもまたよし。それも含めて、器への愛着というのが育っていくのだと思います」
刺身、カレー、ミートソース……。食べたいものを何でも盛り付けたい。
 
NG6
作り置きのおかずを温めたい!
まずは電子レンジに入れてみた。

 
作り置きのおかず、わざわざ耐熱皿に移すのも面倒。少しだけヒビがあるけど、食卓に出す器に盛り付けて、そのまま電子レンジで温めちゃおうかな……。「電子レンジは急激な温度変化が起こるので、耐熱加工が施されていない場合は、どんな素材の器にもダメージを与えます。一度は大丈夫だったとしても、繰り返し電子レンジで使用することで割れてしまうこともありますので、長く使いたい器は避けたほうがいいでしょう。とくに傷やヒビが入っている器は破損しやすく、万が一、電子レンジの中で割れてしまったらお料理も台無しにしてしまいます。また、電子レンジの電磁波は金属に当たると火花が出ることがあるので危険。黒ずみの原因にもなります。最近は作家ものの器でも電子レンジで使える加工を施してある器も多くなってきていて、必ずその注意書きがしてあります。ご自分のライフスタイルに合わせて器を選ぶというのも、器を長く愛用するためのポイントです」
 
作り置きのおかずを温めたい!まずは電子レンジに入れてみた。
 
NG7
油汚れがひどいから、
シンクで長時間水につけておく。

 
スポンジでゴシゴシ洗うのがダメなら、水を張った洗い桶に入れてつけ置きすればいいのでは? 長時間水につけておいたら汚れもしっかり落ちそうだし、お手入れも楽になりそう。「これも素材によって向き不向きがあるのでご注意を。とくに水に強くない金属や木製、漆器は使ったらすぐに洗って乾燥させないと、シミや錆が発生してしまうことがあるので、短時間であってもつけ置きは避けましょう。磁器やガラスの器は水につけておいても傷みの原因にはなりませんが、吸水性の高い陶器はご用心。長時間つけ置きすると洗い桶の中の汚れやにおいが移ってしまうことも。そして、素地が汚れを吸うとシミやカビが発生してしまうことがあります。どうしてもすぐに洗えない場合は、一度さっと水洗いして汚れを落とし、揚げ物や油ものに使った器とは分けてつけ置きを。洗剤のにおいが移ってしまうこともあるので、綺麗な水につけておくのがいいでしょう」
 
油汚れがひどいから、シンクで長時間水につけておく。
 

illustration : Isabelle Boinot text : Yuriko Kobayashi

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スタイリスト 竹内万貴

大学卒業後、新聞社勤務を経て、東京・世田谷のギャラリー『而今禾(じこんか)』で現代作家および骨董の器の販売、仕入れ、企画に携わる。現在はスタイリストとして独立し、雑誌や料理本を中心に、器のセレクトや料理の盛り付けなどテーブルスタイリングを専門にしている。
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