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4つの香りを空間のサイズで使い分ける。建築家・永山祐子さんの、エレガントな嗜み。October 08, 2023
エレガンスを物語る8つの心得について、それを実践する8人に話を聞いた、本誌「エレガンス、であること」特集の企画「エレガントな、8つの嗜み」。なにげない日常のなかでも、丁寧な動作を心がけ、相手を思いやったり、自分を大切にすることで、エレガンスは醸し出されていくもの。建築家・永山祐子さんの嗜みを紹介します。
4つの香りを空間のサイズで使い分ける。
「ふと漂うささやかな香りが好みなんです」と言う永山祐子さん。香りは常にそばにある、活力を与えてくれるものであり、リラックスを促してくれるものでもある。そんななかで、ただ好きな匂いを楽しむだけでなく、届く範囲を分けているというのが、いかにも空間づくりのプロである建築家らしい。近くにアロマが苦手な人がいる場合は、自分だけが知覚できるハンドクリームで密かに心を落ち着かせる。みんなで共有したいときは、広い空間に対応するディフューザーで拡散させる、とパーソナルからパブリックまで、状況に合わせてアプローチを変えているのだ。
「香りの好みは人それぞれ。周囲に配慮しつつその場、そのときに適した範囲で楽しめるといいですよね」 そういった気遣いがベースにあることで、芳香だけではないエレガンスも漂わせる。
もっとも親密な香りとして愛用しているのは〈イソップ〉のハンドクリーム。デスクまわりには、溶岩石にオイルを染み込ませた〈マドエレン〉のポプリ アポセカリーがちょうどよく、小さな部屋全体に行き渡らせるなら、〈アットアロマ〉のフラスコ型ディフューザーで永山さんのために調合されたエッセンシャルオイルを噴霧する。大人数が出入りするアトリエには、入り口に〈アットアロマ〉の大型ディフューザーを設置。人の動きがつくる揺らぎを堪能している。
永山祐子 Yuko Nagayama 建築家
東京都出身。2002年永山祐子建築設計設立。’14年に日本建築家協会JIA新人賞、’18年に東京建築賞優秀賞を受賞。’20年より武蔵野美術大学客員教授を務める。’22年のArt Collaboration Kyotoの連携プログラムでは空間ディレクションにあたり、その場にふさわしい香りの演出もした。
この記事は、『アンドプレミアム』NO.119「エレガンス、であること。」に掲載されたものです。
photo : Takashi Ehara illustration : Shapre text : Mick Nomura (photopicnic) edit : Wakako Miyake