MUSIC 心地よい音楽を。
シンガーソングライター スカートさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.4December 26, 2025
December.26,2025– January.1,2026
Saturday Morning
空気公団は中学生の頃、『Smash water people, ok?』というコンピレーションではじめて聴いて、それをきっかけに好きになったグループです。「優しい歌もののグループ」みたいなイメージがあると思いますが、芯にあるものは相当ハード。空気公団は季節や時間の切り取り方が本当に絶妙で、今回紹介する「これきりのいま」は夜明け前の澄んだ空気が音となって、言葉となってそこで鳴っている、という途方も無い大名曲。もはや「朝」でもなく、「夜明け前」の音楽ですが、ここにある大いなる（と言っては大袈裟かもしれませんが、ともかく）予感というものは私にとっては永遠です。最初のスネアの「ダンッ」という音から、最後の一音まで、景色や風や温度が確かに詰まっています。
アルバム『夜はそのまなざしの先に流れる』収録。
アルバム『夜はそのまなざしの先に流れる』収録。
Sunday Night
ブロッサム・ディアリー！ ああ！ ブロッサム・ディアリー！ 連載の最後に大好きな彼女の曲を1曲紹介させてください。彼女がロンドンにいた頃のレコーディングを中心にコンパイルされた未発表曲集『Feeling Good Being Me : The Lost And Found London Sessions』（2023）のリリースは事件でした。この頃の彼女はジャズシンガーとシンガーソングライターのちょうど境目にいた最初の時期だったと思いますが、その様子をこれでもか、と聴かせてくれる最高のコンピレーションです。この曲は私が知る限り、2019年にリリースされた、オランダで録音された未発表録音集『The Lost Sessions From The Netherlands』が初出で、（おそらく）1970年代初頭に書かれて以降、長い間、未発表となっていた曲で、ゆったりとしているけど決してゆるくはないリズムの中、細かいところまで手入れが行き届いたメロディやコードが美しく移ろう名曲です。この素晴らしい音楽でゆったりと1週間を閉じ、また新しい1週間を迎え入れようと思います（良いお年もお迎えください！）。
アルバム『Feeling Good, Being Me: The Lost And Found London Sessions』収録。
アルバム『Feeling Good, Being Me: The Lost And Found London Sessions』収録。
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シンガーソングライター スカート
どこか影を持ちながらも清涼感のあるソングライティングとバンドアンサンブルで職業・性別・年齢を問わず評判を集める不健康ポップバンド。2006年、澤部渡のソロプロジェクトとして多重録音によるレコーディングを中心に活動を開始。’10年、自身のレーベル〈カチュカ・サウンズ〉を立ち上げ、1stアルバム『エス・オー・エス』をリリースしたことにより活動を本格化。’21年4月にアニメ「オッドタクシー」オープニングテーマ「ODDTAXI」をPUNPEEとコラボで担当。豊富なお笑いの知識から、'23年9月には25歳以下限定のお笑い賞レース『UNDER 25 OWARAI CHAMPIONSHIP』決勝戦の審査員を担当、大会主題歌「期待と予感」も書き下ろした。また、そのソングライティングセンスからこれまで藤井隆、Kaede(Negicco)、三浦透子、adieu（上白石萌歌）などへの楽曲提供も行っている。さらにマルチプレイヤーとして澤部自身も敬愛するスピッツや川本真琴、ムーンライダーズらのライヴやレコーディングに参加。
