MUSIC 心地よい音楽を。

シンガー・ソングライター、詩人の柴田聡子さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.4September 27, 2024

September.27 – October.03, 2024

Saturday Morning

Title.
Feel Like Makin’ Love
Artist.
阿川泰子
また散歩をする土曜日の朝。先週の「MUSIC FAIR」で阿川泰子の歌を聴いて、すてきな歌だな〜と感動したので、今週はちょっとずつ阿川泰子のアルバムを聴いていた。その中に「Feel Like Makin’ Love」のカヴァーがあったのでうれしくなった。この曲は、これまでたくさんの人がカヴァーしていて、私はディアンジェロのバージョンで存在を知った。冒頭の「strolling in the park」という言葉もあってか、公園を散歩しながら聴くと最高の一曲で、よく公園を歩きに行く自分にとっては、またひとつFEEL LIKE MAKIN’ LOVE宝箱に曲が増えてありがたい。公園は大好き。公園はさまざまな人を受け入れてくれる。ただ、公園にいる人がさまざまな人を受け入れているかといえばそうではない時があって、そういうところに出くわすと結構しょんぼりしてしまう。そうやって大好きが故に公園に求めすぎて落ち込む時に、先の「Strolling in the park」に続く「Watchin’ winter turn to spring」を思い出し、季節が変わっていくのを見るだけで十分だよな〜と気を軽くさせてもらっている。結局、4週のうち3週は散歩にまつわる話になってしまった。
アルバム『Your Songs』収録。

Sunday Night

Title.
Les Fleurs
Artist.
Minnie Riperton
先日知人から、今度演奏する曲のリファレンスとしてミニー・リパートンを挙げてもらった。そういえばちゃんと聴いたことがなかったので、今晩はミニー・リパートンのアルバムを一気に聴いている。決して長くない活動期間だったのも初めて知った。しかしその中でも6枚のオリジナル・アルバムを作って、そのどれもがほんとうにすばらしい作品だった。一気に大好きになった。中でも『Come To My Garden』というファースト・アルバム(だと思う。多分)がいちばん好きだった。1曲目は「Les Fleurs」で、この曲は知ってるな〜と呑気に聴いていたら、なんというか、謎に満ち満ちながらも、この曲は最高にいい曲だとあらゆる方向から良さが襲いかかって分からせてくる、地球の法則の上に無さそうな挙動を感じて、勘弁してくれ! という気持ちになった。アルバムの1曲目という位置にロマンを感じる自分にとっては、この曲が配置されていることがうれしすぎて眠れなさそう。ほんとうにすごい曲だ〜。こういう風に圧倒される瞬間、とても幸福。
アルバム『Come To My Garden』収録。

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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シンガー・ソングライター/詩人 柴田聡子

北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。2010年、大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始める。2012年、『しばたさとこ島』でアルバム・デビュー。2016年、詩集『さばーく』を上梓し、第5回エルスール財団新人賞受賞。2023年、エッセイ集『きれぎれのダイアリー』を上梓。2024年、アルバム『Your Favorite Things』をリリース。

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