MUSIC 心地よい音楽を。
今月の選曲家 坂口修一郎June 17, 2016
June.18 – June.24, 2016
Saturday Morning

静かなピアノのイントロからシロフォン(木琴)の柔らかな響きとリズムが立ち上がる。これはスウェーデンの知的障害者の人たちが集まって演奏しているシロフォンオーケストラによるもの。僕が関わっている鹿児島の知的障がい者支援施設「しょうぶ学園」のグループOtto&Orabuの音楽にも通じるものがあります。淡々とひたむきにつづく雨だれのような木琴の響きが美しい。誰かに聴いてもらうためではなく、ただひたすらに音が音のために打ち鳴らされています。雨の朝の風景を窓から眺めながら聴くのが似合いそうな1曲。
アルバム『Stora Bla』収録。
アルバム『Stora Bla』収録。
Sunday Night

時計の針、カメラのシャッター、タイプライター。足音と民族楽器。記憶の彼方にある子供の遊ぶ声。遠くで犬が吠える。これらの繊細な音のコレクションは人々が寝静まり、ひとり静かにしている時にしか聞こえてこない。丹念に配置されたフィールドレコーディングを邪魔しないように訥々とつま弾くピアノ。アルゼンチン音響派のアーティストが音によって記録した夢の風景。美しい夜の音楽。
アルバム『Cribas』収録
アルバム『Cribas』収録
ミュージシャン・プロデューサー 坂口 修一郎

Double Famous / 〈BAGN Inc.〉代表 1971年鹿児島生まれ。1993年無国籍楽団ダブルフェイマスを結成。音楽活動の一方、2004年代官山〈UNIT〉の設立に参加。2010年より故郷、鹿児島でクロスカルチャーな野外イベント「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE」を主宰している。東日本大震災後には緊急支援で来日したジェーン・バーキンのサポートバンドをオーガナイズし、ワールドツアーに同行した。現在では ランドスケーププロダクツ内にディレクションカンパニー〈BAGN Inc.〉を共同設立。ジャンルを越境したイベントのプロデュースを多数手がけている。