MUSIC 心地よい音楽を。

ソングライター、ギタリスト 君島大空さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.4October 27, 2023

October.27 – November.02, 2023

Saturday Morning

Title.
Halloween
Artist.
Phoebe Bridgers
暗がりに安心する。休日には似つかわしくない低気圧の曇った朝に布団に包まったままお昼になっても動けない。「おやすみなのでね、そんな背徳感のある過ごし方もまた一興!」などと思える余裕はない。暗がりに安心するのは昔からのことだ。怠いけど、まあこれでいい。フィービーが味方をしてくれる。僕はこのアルバムに出会って強い衝撃を受けた。今年の一月に出した『映帶する煙』というアルバムは彼女のアルバムの音像を意識した部分が強くあった。特にこの曲の音像は一つの憧れだ。彼女が僕と同い年であるという事実も、強く意識した一つの要因である。暗がりのままの私を受け止めてくれた音楽である。
アルバム『Punisher』収録。

Sunday Night

Title.
Emotions Wound Us So
Artist.
Larry Carlton
この連載の締めくくりは決めていた。秋の夜長に持って来いのギターです。全ギタリスト必見。これは冗談ではなく、もっと知られるべき名演だと思う。「room335」、じゃあないんですよ。。。アメリカのジャズギタリスト、ラリー・カールトンの1986年のライブ録音。会場はロサンゼルスの老舗ライブハウス「The Baked Potat」である。彼のトレードマークGibsonの「ES–335」ではなく全編ソリッドギター(バイオリンのFホールのような穴がないギター)で演奏している。彼のギターの特筆すべきポイントは非常に肉声的な表現であると私は思う。バンドが入ってくるまでの前半のタッチ、 フィードバックコントロールは圧巻である。Youtubeに同日の演奏の映像が上がっているのでぜひ チェックしてみてもらいたい。いつかこんな表現ができるようになるだろうか、そんな気持ちすら忘れてしまうほど哀愁に満ち満ちている。良い夜をお過ごしください。
アルバム『Last Nite』収録。

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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ソングライター、ギタリスト 君島大空

1995年東京都青梅市生まれ。ギタリスト/サウンドプロデュースとして、吉澤嘉代子、中村佳穂、細井徳太郎、坂口喜咲、RYUTist、adieu(上白石萌歌) 、高井息吹、UA、荒谷翔太(yonawo)など様々な音楽家の制作、録音、ライブに参加。2019年「午後の反射光」ep を発表後から本格的にソロ活動を開始。 2019『午後の反射光』(APOLLO SOUNDS)、2020『縫層ep』(APOLLO SOUNDS)、2021『袖の汀ep』(APOLLO SOUNDS)2023『映帶する煙』(1st Album)(APOLLO SOUNDS)『no public sounds』2nd Album(APOLLO SOUNDS)

twitter.com/ohzr_kshm

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