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小ささの利点は気軽に作れること。建築家・太田翔、郁さん夫妻のシンプルな家づくり。April 23, 2025

小ささの利点は気軽に作れること。太田翔、郁さん夫妻の家づくり。
玄関のガラス戸を開けるとすぐにキッチンダイニングに。右手にあるキッチンは壁づけタイプ。一歩で移動できるので、片付けや料理を運ぶのも楽だという。

 ともに建築家である太田翔さんと郁さん夫妻。路地にある既存建物を初めての自邸として設計したのが5年前。現在、暮らし始めて4年が経ち、その間に子どもも生まれた。
「家をどうする?と話し合ったとき、数千万円かけて一軒家を建てる決断ができなかったんです。ここは500万円強で出ていた物件。それならプラス600万円で改修するのもいいかな、と思って」と、翔さん。
 住むのは10年程度と決め、その後は売ってもいいし、賃貸に出したり、セカンドハウスやオフィスにしたりしてもいいと考え、気軽に始めた。
「そういう経緯で、必然的に小さい家になったわけですが、小さいと片付けや掃除が楽。キッチンとダイニングが隣接しているので料理も作ってすぐに出せます。動線がシンプルになるのがいいですね」と、郁さん。

小ささの利点は気軽に作れること。太田翔、郁さん夫妻の家づくり。
1階。奥が風呂や洗面など水回りに。階段下は収納だったが、今は階段を作り直してソファを置いてリビングとして使用。
小ささの利点は気軽に作れること。太田翔、郁さん夫妻の家づくり。
2階。奥は寝室に。ルーバーにした廊下に沿って本棚とクローゼットを設置。屋上に上がる左奥の階段は既存を生かした。
小ささの利点は気軽に作れること。太田翔、郁さん夫妻の家づくり。
大通りから入った路地に位置している。両隣とも外壁がくっついている長屋のようなつくり。木造2階建て。

 延べ床面積47㎡で、プランもシンプル。1階が暗かったため吹き抜けにして、さらに2階の廊下と書斎部分の床をルーバーにすることで、1階にも光が差し込むようにした。
「作った当時は二人とも仕事が忙しく、家には帰って眠るだけだったんです。なので、思い切ってリビングを削って、リラックスできるお風呂を広く取って、コストもかけました。また、玄関も作ると狭くなるので玄関、ダイニング、キッチンを兼ねるひとつのスペースに。個室も狭く感じるので、扉があるのはトイレのみ。生活に必要なものがコンパクトに揃った家になりました」と、翔さん。
 お金をあまりかけず、気負わず家づくりができるのも、小さいからこその利点。ただ、翔さんいわく、「子どもができたので広いリビングは欲しくなりました。隣が空き家なので、買い取って拡張するのも面白いかな、と思っています」とのこと。

小ささの利点は気軽に作れること。太田翔、郁さん夫妻の家づくり。
縦に長く、横幅は2、3m程度。バスルーム、玄関まわり、寝室、書斎の4 ブロックを大きく取ることからプランを進めた。
小ささの利点は気軽に作れること。太田翔、郁さん夫妻の家づくり。

太田 翔 / 太田 郁建築家 / 建築家

翔さんは2019年に武井良祐さんとともに一級建築士事務所〈OSTR〉を設立。郁さんは大手設計事務所を退職し、次のステップを準備中。

photo : Ayumi Yamamoto edit & text : Wakako Miyake

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