NICHIYOHIN 暮らしを豊かにする道具。
足を運んでこそわかる、空間と器の妙。
いま、京都で訪れたい2軒の器ギャラリー。March 01, 2023
2023年2月20日発売の『&Premium』の特集は、「ひとりでも、京都」。ひとりでも楽しめる。ひとりだからさらに楽しい。そんな情報を集めた、本誌3年ぶりとなる京都特集です。伝統や習慣を守りながら、新しいカルチャーとも共存し、訪れる度に新たな発見のある街の魅力をローカルのガイドに聞いた企画「ひとり、京都を巡りたくなる10のこと」より、いま訪れたい器ギャラリーを2軒紹介します。
訪れるたびに表情を変える、店主のセレクトが光る店。
1.ヌヌカ ライフ
Nunuka life_浄土寺
国内外の器好きから愛されながらも、10年間の営業に幕を閉じた『ショップ&ギャラリーYDS』の高橋周也さんが昨年6 月、屋号を一新。店名の「ヌヌカ」とはアイヌ語で「大切にする」という意味。普遍的なデザインの中に細やかな職人技を感じる品々を扱い、時には修復・修繕をしながら、未来へと繋ぐことの良さを伝える。▷京都市左京区浄土寺南田町10 ☎非公開 11:00~17:00 営業の詳細はInstagram@nunuka_lifeで確認を。店の前のベンチが目印。
2.うつわと古物 幹
pottery & antiques KAN_河原町丸太町
茶や短歌を嗜む祖母や母の影響で、古物の質感や手仕事の跡に魅了されていったという店主の下西幹さん。取り扱うのは主に焼き物で、店内には古物と現代作家の作品が同列に並ぶ。現代作家の作品は「古いもののエッセンス」を感じる器をセレクト。「使いやすいものが多くて、初めて古物を購入する方にもおすすめ」と北澤さん。▷京都市上京区河原町通丸太町上る出水町274 ☎070‒2181‒4605 12:00~17:00 日木休 『平安蚤の市』に出店することも。
Walk about 10 Things_UTSUWA GALLERIES
直接見て選ぶことの楽しさを
再認識させてくれるギャラリー。
コロナ禍においてオンラインで買い物をする機会も増えた今、店舗を持たない器のショップが全国で増えている。しかし、工芸や古物を主軸にキュレーター、バイヤーとして活動する北澤みずきさんは、「器は日々使うものだからこそ、視覚的な要素だけではなくて、サイズ感や手に持ったときの重み、質感などを、五感で感じることが重要」と話す。
今回、北澤さんが紹介してくれたのは、建築やインテリアなど空間づくりも含めて、〝直接、器を見て選びたくなる〞場所。
「2つのギャラリーの共通点は、古い建物を活用しているところ。建物がもともと持つ雰囲気を生かしながらも、店主それぞれの独自の感覚や新しい試みを取り入れて、ここにしかない世界観をつくりあげています」
壁に和紙を張ったり、古材を組み合わせて什器にしたりと店内にちりばめられたインテリアのアイデアは、自宅で器を飾る際の空間づくりの参考にもなる。
また、ただ器を並べて紹介するだけではない、独特の視点や考え方に基づいて構成された企画展も、足を運びたくなる理由。「作家の個性はもちろん、展示を企画した店主も工夫を凝らし、その人となりやスタイルが伝わってくる場所で、器たちと向き合う時間を楽しんでいただきたいです」
北澤みずき キュレーター、バイヤー
工芸を主軸に、ホテルをはじめとする商業施設の企画やバイイング、イベントのコーディネートなどを行う。 工芸・手仕事の展示販売会『ダイアローグ』のキュレーターも務める。直近の仕事に、『ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都』のアートキュレーションなどがある。
photo : Yoshiko Watanabe text : Ai Kiyabu