MUSIC 心地よい音楽を。

ギタリスト、作曲家 藤本一馬さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.2February 13, 2026

February.13– February.19

Saturday Morning

Title.
Amor de Índio
Artist.
Beto Guedes
 もう20年以上も前になりますが、旅でブラジルを訪れ、アマゾン川流域のロッジにしばらく滞在したことがあります。自然の中で目覚める朝の時間は特別で、その感覚は時を経た今でも身体のどこかに残っています。ときおりコーヒーを淹れながら、もし日々の暮らしの中であんな朝を迎えられたなら、と記憶に浸ることもあります。 アマゾンは、ブラジルの先住民であるインディオの人々が育んできた土地でもあります。その自然観を象徴的に歌った「Amor de Índio」は、ミナスジェライス出身のベト・ゲヂスの楽曲。同郷のミルトン・ナシメント、ロー・ボルジェス、トニーニョ・オルタらとともに『Clube da Esquina』を形づくった彼の音楽には、ミナスの音楽家たちが持つ胸を熱くするメロディが聴こえてきます。自然と共に生きる人々への祝福をたたえる歌声は、やわらかな朝の光のように、優しい時間をそっと包み込んでくれるような気がします。
アルバム『Amor de Índio』収録。

Sunday Night

プロデューサー、シンガーermhoiさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.2
Title.
Quiet Departures
Artist.
Eberhard Weber
 一日を終えたと思うと同時に、もう明日へ向かっている。そんな感覚になる夜があります。とくべつ忙しかったわけでもないのに、心のどこかで何かが終わり、そして始まっている。そんな自分を感じる時間です。明日への静かな旅立ち。そんな夜に、穏やかな気持ちで、そしてひそやかに聴いていたいと感じるのが、エバーハルト・ウェーバーの「Quiet Departures」です。

 ミニマルな響きのなかで溶け合うボイス、長い時間をかけていくつもの景色が移ろっていくアンサンブル。大きな起伏はなくとも、壮大な物語を内包し、静かな胸の高まりを覚えます。独自のベースによる浮遊感とうねり。そこにゲイリー・バートンのヴィブラフォンやビル・フリゼールのギターも美しく響きます。始まっては消え、また現れる。いくつもの小さな旅立ちのように。日々という連続のなかで、新しい明日へ向かう想いに重なる一曲です。
アルバム『Fluid Rustle』収録。


ギタリスト、作曲家 藤本一馬

藤本一馬
1998年、ヴォーカルのナガシマトモコとともにorange pekoeを結成。2001年にミニアルバムでデビューし、翌’02年のアルバム『Organic Plastic Music』で各種音楽賞を受賞。 ‘11年よりソロ活動を本格化。メロディアスな作曲と詩的なギター表現を軸に、静謐で時間の流れを感じさせるインストゥルメンタル作品を発表しており、『SUN DANCE』、『Dialogues』、『My Native Land』、『FLOW』などのアルバムをリリースしている。 国内外のさまざまなアーティストとのコラボレーションをはじめ、楽曲提供、ライブやレコーディング、映像作品の音楽制作、舞台音楽など、活動は多岐にわたる。 最新作として、’25年11月にピアニスト・林正樹とのデュオ名義によるアルバム『Unfolding in Time』を発表。 また、ドキュメンタリー映画『粒子のダンス』の音楽を担当し、同作は2026年3月に一般公開が予定されている。

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