MUSIC 心地よい音楽を。
今月の選曲家 甲斐みのりMarch 02, 2018
March.02 – March.08, 2018
Saturday Morning

“歌う女優”に魅せられて、フランスや日本の女優の歌を聴ける映画やCDを蒐集していた。当時、フランスの女優、マリー・ラフォレを知ったのは、秋元康作詞・矢野顕子作曲で、早瀬優香子が歌う「マリー・ラフォレはもう聞かせないで」という歌から。マリー・ラフォレの出演作品で、『太陽がいっぱい』以上に『Saint-Tropez Blues(赤と青のブルース)』を何度も観たのは、マリー・ラフォレがギターを手に歌う姿見たさから。休日が始まる土曜の朝、フランスの女優に憧れて、この歌を口ずさみながら身支度した昔を思い出す。
アルバム『L’integrales Festival』収録。
アルバム『L’integrales Festival』収録。
Sunday Night

『冒険者たち』の音楽で知られるフランスの作曲家、フランソワ・ド・ルーベに出合ったのは二十年近く前。作品集の中でも、切なく美しいメロディに少年と中年男性のスキャットをのせたこの曲を気に入って、眠る前に繰り返し聴いた。クロード・シャブロル監督『いとこ同士』で知られるフランスの俳優、ジェラール・ブランの監督作品『Les ami 』の劇中曲というけれど、日本未公開の映画で分かっているのは、45歳の男性と17歳の少年の関係を描く物語ということくらい。もし観る機会がやってきたとしても、この曲が流れた途端、長年の習慣で心地よい眠気に包まれてしまうだろう。
アルバム『Les Plus Belles Musiques De Films Vol.2』収録。
アルバム『Les Plus Belles Musiques De Films Vol.2』収録。
文筆家 甲斐 みのり

プロダクションLoule(ロル)主宰。旅、散歩、お菓子、手みやげ、地元パン、アイス、クラシックホテルなどを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。食・店・風景・人、その土地ならではの魅力を再発見するのが得意。著書は40冊以上。地方自治体の観光案内パンフレットの制作や、講演活動も行う。
Instgram:@minori_loule