BOOK 本と言葉。
『枕草子』 清少納言(岩波文庫)Book 42 / November 04, 2016
This Month Themeチャーミングな女性作家の本。
言わずと知れた日本を代表する古典文学。細やかで冷静な観察眼により描かれた文章からは、その時の情景や作者の心の様子が、遥かな時間を軽々と飛び越えて、匂い立つように伝わってきます。自然や日常の描写のみずみずしさには、ただただハッとするばかり。清少納言が仕えた中宮定子とのやり取りも、優しさや茶目っ気たっぷりのほほえましさに満ちています。現代の日常で使うことのない古語に、豊かな背景と意味合いを感じられるのは、日本語を母語とする私たち日本人だからこその特権だと思います。千年以上前に生きた女性のたおやかな感性と、日本語の持つ美しさを味わう喜びを感じられる一冊です。
natsume books ナツメ書店
福岡県北九州市にある6坪の本屋。新刊・古書・リトルプレス・雑貨等を取り扱う。一人の読者のための大切な一冊が見つかるような場所を目指す。