MUSIC 心地よい音楽を。
バイオリニスト、アレンジャー 須原杏さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.3November 21, 2025
November.21 – November.27, 2025
Saturday Morning

都会は苦手。わかります。更に師走が迫ってきているので、街中にいる人々は、拍車をかけて皆、忙しそうです。学生の頃から都内に通学・通勤をしています。最初は地下鉄のスピードに驚き、手すりを強く握り締めて満員電車の中「なんて街だ!」なんて思っていましたが、いつの間にか獲得した処世術でそんな日々にも徐々に慣れていきました。
目まぐるしさを感じる電車の乗り換え、喧騒の中を「目まぐるしい曲」を聴きながら歩いていると、不思議と周りがスローモーションで見えてきます。喧騒では人に呑まれて足元を見つめて歩くより、視線を遠くに歩いた方が遥かに歩きやすい。不思議です。
ヴァンパイア・ウィークエンドの「Connect」は曲の幕開けと共に、リズムも前に前にと忙しいですが、聴いているとなんだか、大らかな気持ちになれる曲です。目の前にやる事はいっぱいあるけれど、もうしょうがない! お正月を目指して突っ走るぞ! 今月から既にそんな気持ちです。
アルバム『Only God Was Above Us』収録。
目まぐるしさを感じる電車の乗り換え、喧騒の中を「目まぐるしい曲」を聴きながら歩いていると、不思議と周りがスローモーションで見えてきます。喧騒では人に呑まれて足元を見つめて歩くより、視線を遠くに歩いた方が遥かに歩きやすい。不思議です。
ヴァンパイア・ウィークエンドの「Connect」は曲の幕開けと共に、リズムも前に前にと忙しいですが、聴いているとなんだか、大らかな気持ちになれる曲です。目の前にやる事はいっぱいあるけれど、もうしょうがない! お正月を目指して突っ走るぞ! 今月から既にそんな気持ちです。
アルバム『Only God Was Above Us』収録。
Sunday Night

音はただの振動。とっても科学的な現象です。ただの振動が、録音され、それぞれの媒体で増幅され、時代、地域を越えて私たちの耳に入ってきます。ロマンチックですね。
音の個性を決めるにあたって大事なのが「倍音」です。元の音に他の倍音が混ざることで、響きや、音色が変わります。例えば、クラリネットは同じ「ラ」でもフルートの3倍もの倍音があり(多ければ良いというものではないですが)それぞれの音色の個性となっています。
ヒドゥル・グドナドッティルの「All Along」は2025年10月末にリリースされた最新アルバムに収録された楽曲。彼女は映画『ジョーカー』で知られた劇伴作家ですが、自身はチェリストでもあり、弦の倍音を知り尽くしているように思います。この録音ではザラっとした弦の倍音が声にまとわりつき、新しい音色として聴こえます。こうしたハーモニーの倍音が紀元前の人の脳も震わせていたのではないかなぁ、と思います。そんな空想をしながら、倍音から曲を聴いてみる夜も良いですね! 気になる人は、ぜひ掘り下げてみて下さい。
アルバム『Where To From』収録。
音の個性を決めるにあたって大事なのが「倍音」です。元の音に他の倍音が混ざることで、響きや、音色が変わります。例えば、クラリネットは同じ「ラ」でもフルートの3倍もの倍音があり(多ければ良いというものではないですが)それぞれの音色の個性となっています。
ヒドゥル・グドナドッティルの「All Along」は2025年10月末にリリースされた最新アルバムに収録された楽曲。彼女は映画『ジョーカー』で知られた劇伴作家ですが、自身はチェリストでもあり、弦の倍音を知り尽くしているように思います。この録音ではザラっとした弦の倍音が声にまとわりつき、新しい音色として聴こえます。こうしたハーモニーの倍音が紀元前の人の脳も震わせていたのではないかなぁ、と思います。そんな空想をしながら、倍音から曲を聴いてみる夜も良いですね! 気になる人は、ぜひ掘り下げてみて下さい。
アルバム『Where To From』収録。
バイオリニスト、アレンジャー 須原 杏

レコーディング、ライブをメインに幅広いジャンルで活動している。 弦の多重録音やエフェクターを使ったアレンジなど意欲的に新しいストリングスサウンドの探求に取り組み、多方面のアーティストとクリエーションをともに行う。 2012年よりASA-CHANG&巡礼メンバーとして活動。‘25年くるりホールツアー2025、映画『国宝』 オーケストラリーダー、TK from 凛として時雨ツアー、JJJ(Fuji Rock Festival)、STUTS tiny desk concerts Japanなどに参加。11月より森山直太朗「弓弦葉」ツアー帯同。ASA-CHANG&巡礼「海峡2025 (唄編) 、SENAKA2025 (Dedicated to rei harakami)」10月より配信中。




























