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Special

No.12 / December 26, 2018 16人の「私の好きな神社、お寺」。平松 麻

京都・東山
泉涌寺
 

画家 平松 麻

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秋には美しい紅葉が境内に色づく。

坂道を下りるにつれ、
俗世から離れて静寂へ。

大門をくぐると眼下に仏殿や諸堂が広がる造りになっており、初めて訪れたとき、不思議な感覚を覚えました。仏殿を見上げることはあっても見下ろすことはなかったので。大門先には緑豊かな砂利道の下り坂が続き、その正面にある仏殿が坂道に対して右に寄っているため、坂道を下る際は仏殿の全貌が木々に隠れて見えません。その様子に、自然を尊び、不規則な景に美を見いだす日本独特の美意識を感じました。境内最奥には美しく掃き清められた白砂の月輪陵(つきのわのみさぎ)があるのですが、その前庭に必ず身を置きます。白砂の向こうに唐破風門の透塀があり、荘厳たる聖域としか言いようがない。鎌倉・江戸時代の歴代天皇が眠る菩提寺ゆえの気高い雰囲気。鳥の声が聞こえ、風を感じ、人間のつくった場所なのに、雑念が皆無の自然に近い聖域だと実感できます。

 

 
illustration : Shapre text : Tokiko Nitta
※『&Premium』No. 50 2018年2月号より