& Premium (アンド プレミアム)

Book

plateau books plateau books


選・文 / plateau books / September 12, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『装飾と犯罪 ―建築・文化論集―』アドルフ・ロース 著 伊藤哲夫 訳(中央公論美術出版)

ぐるっと身の回りを見ると、さまざまな形や模様、色、柄に囲まれていて、まったく飾りのないもの、使い勝手だけで出来上がったものが、どんなものだろうと考えてしまう。明らかに「何とか風」に後付けされたような模造品は、確かに罪な気がするけれど、身近に手に入るものなんてそんなものばかり。手で作る愉しみが染み込んだ装飾は、本物のように思えて、無くしてしまうと物哀しい。装飾は完全に否定することはできなくて、いくらかは肯定せざるを得ないものだと、飲み込んだ。住まい方を考える、振る舞いや外見を考える。わたしたちは、罪を犯したのだろうか。(戸田 亮)


選・文 / plateau books / September 05, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『物質的恍惚』ル・クレジオ 著 豊崎光一 訳(岩波文庫)

以前と以後、そして、その中間にあるもの。たった三つに分けられるけれど、分けたそばから混ざり合う。この、混ざり合いが、いま在る、想像できる、雑多なあれこれそのものなのかもしれない。身の回りは物質で溢れている、なんて書くと、すごく当たり前に思う。けれど、あくせく動いていると、ただ在ることの価値を忘れてしまう。本を開いても、言葉はずらっと並んだまま、こっちに話しかけてきやしない。そんなとき、文字も「物」だと実感する。(戸田 亮)


選・文 / plateau books / August 29, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『真夜中の庭――物語にひそむ建築』植田実 著(みすず書房)

子どもの頃に読んだ本も、大人が書いている。そんなあたりまえのことを思い出させてくれた。植田実は、「くまのプーさん」の「簡潔で徹底した性格描写」、「ムーミン」に描かれる「生きていることの寂寥感」など、かつて夢中になった物語の2週目の読書に宿る、大人にしか気づけない視点を教えてくれる。建築批評家である著者の視点が光る「小公女」の屋根裏部屋、「ナルニア国ものがたり」の衣装箪笥など、家や空間という装置が物語にどんな影響を与えているのかを読む解くのも面白い。(出原日向子)


選・文 / plateau books / August 22, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『須賀敦子全集 第1巻』(「ミラノ 霧の風景」)須賀敦子 著(河出書房文庫)

須賀敦子

20代の後半から40代始めまでを過ごしたイタリアでの日々を、60代になった著者が思い返しながら書いている。懐かしさとは、どこか後ろ向きの感情だ。けれども、須賀敦子の綴る文章は、郷愁を誘いながら、読んでいるうちに心に光がさしてくるような、救われた気持ちになれる。私たちは日々働きながら思い悩むあれこれを、落ち着いて考える時間もなかなか持てないけれど、時間が経てばこんなふうに振り返られるようになるかもしれない。そう思わせてくれる。(出原日向子)


plateau books plateau books

「平坦な場所」を意味する「plateau」。平坦で変化のない時間にゆっくりと本を読む時間を楽しめる場所を作りたい、と2019年3月に店をオープン。中央のテーブルでは、カフェのようにコーヒーとお菓子をいただきながら読書することができる。
東京都文京区白山5-1-15 ラークヒルズ文京白山 2階
https://plateau-books.com/