台湾スイーツ食べ比べ

洗練された味わいの月餅と緑豆糕。【台湾スイーツ食べ比べ】October 20, 2025

台湾では中秋節(今年は10月6日)を迎えると、お世話になっている会社や友人同士でギフトを贈り合う風習がある。なかでも定番の贈り物は中華菓子。従来のものはサイズが大きく、口当たりがやや重いという印象だが、最近は食べやすさを重視したものが増えている。今回紹介するのは、デザイナー夫妻が経営するカフェ『TWATUTIAN COFFEE & Co.』の月餅。サイズが小さく、やさしい口当たりが特色。もう一つはインテリアデザイナーの許祐榕さんが開くティーサロン『開門茶堂』の緑豆糕。緑豆でできた生落雁のようなお菓子で、餡には様々な素材を用いているのがウリ。どちらもデザイナーらしいアイデアとセンスが感じられ、節句に限らず、普段から味わいたくなる逸品となっている。
洗練された味わいの月餅と緑豆糕。【台湾スイーツ食べ比べ】

カフェとしては珍しいオリジナルの月餅。

日用品ブランドが経営するカフェで、市内に2店舗ある。店主の一人であるスモールさんは子どもの頃から伝統菓子が好きだったそうで、開業時に「コーヒーにも月餅はマッチするはず」と思い、ベテラン菓子職人に依頼。昔ながらのラードではなく、フランス産発酵バターを使用し、軽やかな食感を実現させている。アヒルの塩漬け卵の黄身を使用したものは2種類。冬瓜入りのパイナップルジャムに混ぜた「鳳凰酥」と、タロイモペーストに加えた「芋泥蛋黃酥」。さらにメロンパンのような形で、餡に肉でんぶを入れた変わり種の「菠蘿肉鬆餅」もある。いずれも甘さと塩気が絶妙だ。なお、菠蘿肉鬆餅以外は日本への持ち帰りも可。レトロで可愛い箱に入っているのでお土産にも最適。

TWATUTIAN COFFEE & Co.
トワトゥーティアン・コーヒー・アンド・シーオー

建國店/台北市中山區建國北路一段136號 ☎02−2506−3698 8:00~18:00 土日9:00~18:30 無休 鳳凰酥50元、芋泥蛋黃酥85元、菠蘿肉鬆餅75元。

TWATUTIAN COFFEE & Co. トワトゥーティアン・コーヒー・アンド・シーオー
洗練された味わいの月餅と緑豆糕。【台湾スイーツ食べ比べ】

5種類の素材を餡に用いた進化形「緑豆糕」。

街路樹が自慢の民生社區にあるティーサロン。各地の茶農家から仕入れた良質な台湾茶のほか、手の込んだお茶請けが人気を集めている。看板商品は「秘製綠豆糕」。緑豆糕とは緑豆粉をラードで固めたものだが、ここでは緑豆糕を篩にかけてきめ細かくした後、バターを加えている。このため、しっとりとクリーミーな味わいに仕上がっており、口の中で溶けていくかのような食感となっている。通常は餡ナシか、または小豆餡かゴマ餡が定番だが、こちらは棗あんやクランベリー、松の実、クルミ、求肥を加え、味や食感の変化を楽しめるように工夫。店主の許さんが菓子職人とともに試行錯誤を重ねたもので、今やヒット商品に。窓外の緑を眺めながらこだわりの台湾茶と一緒に味わいたい。

開門茶堂
カイメンツァータン

台北市松山區民生東路四段80巷1弄3號1樓 ☎02−2719−9519 11:00~20:30(土日~18:30) 火休 秘製綠豆糕45元。台湾茶は11種類ほど。

開門茶堂 カイメンツァータン

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 143 2025年11月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉 真理

片倉真理
1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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