台湾スイーツ食べ比べ

芋好きは必食! 素朴なサツマイモのおやつ。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】April 14, 2025

台湾では「地瓜」と呼ばれるサツマイモ。台湾島に似たその形はもちろん、痩せた土地でもたくましく育つことが台湾人の不屈の精神に重ねられ、多くの人に愛されている。そんなサツマイモを用いたスイーツはバラエティに富む。今回紹介するのは麦芽糖でサツマイモをじっくりと煮込んだ「麥芽地瓜」。甘くねっとりした食感が後を引く。もう一つは揚げたサツマイモに飴を絡めた「拔絲地瓜」。本来は中国・北京を代表するおやつだが、今やすっかり台湾に定着。見た目は大学芋に似ているが、味や食感は異なり、取り分ける際に飴が長い糸を引くのが特色。なお、台湾のサツマイモは種類が豊富。今回紹介する2軒はいずれも黄色の果肉である「台農57號」を使用。甘味が強いことで知られる品種だ。
芋好きは必食! 素朴なサツマイモのおやつ。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】

艶やかに輝く、甘味たっぷりのサツマイモ。

 下町風情が色濃く残る迪化街。この街には他の地域では見られなくなってしまった昔ながらのおやつを売る屋台を見かける。『叫小賀麥芽地瓜』もその一つ。黄金色に輝く「麥芽地瓜」はサツマイモの内側まで麦芽糖が染み込んでいる。芋の繊維質が少ないため、食感が滑らかなのも特色。また、保温されているので温かい状態で食べられるのも嬉しい。黒い色合いのものは黒糖で煮込んでおり、コクのある甘さが自慢。麦芽糖味と黒糖味は別売りされているが、頼めば2種類を詰め合わせてもらうことも可能。民生西路に面する彰化銀行の前に屋台があり、隣には肉まんと四神湯(ホルモン入り薬膳スープ)が評判の屋台が並ぶ。すぐ近くにある淡水河の畔で味わってみてはいかが?

叫小賀麥芽地瓜
チアオシャオフーマイヤーディーグワ

台北市大同區民生西路388號 ☎0989−046−530 12:30~18:00 無休 小パックは70元(約6個入り)。週末には行列ができる。

叫小賀麥芽地瓜 チアオシャオフーマイヤーディーグワ
芋好きは必食! 素朴なサツマイモのおやつ。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】

やみつきになるおいしさ! 出来たて拔絲地瓜。

 おいしいものが集まる饒河街夜市。その入り口にある『小明拔絲地瓜』は二十数年前のオープン以来、毎日行列が絶えない人気店だ。親子で切り盛りし、店先でカットされたサツマイモを大きな鍋で次々と揚げている。油に浮かぶかすを取り除き、入念に揚げられたサツマイモはこんがりときれいなきつね色に変身。これに砂糖と麦芽で作った黄金色の飴を均等に絡め、芋同士がくっつかないようにヘラでザクッと分けている。最後は表面の飴が固まるのを待ち、少し冷ましてから箱に詰めていく。こうしてできた拔絲地瓜の外側はカリッと、内側はホクホクとした食感。食べ始めるとあっという間に箱が空になってしまう。昨年、通化街夜市の中に2号店もでき、こちらも人気店となっている。

小明拔絲地瓜
シャオミンバースーディーグワ

台北市松山區饒河街33號前 ☎0919−560−834 17:00~24:00 無休 1パック60元、サツマイモチップスなども販売。

小明拔絲地瓜
 シャオミンバースーディーグワ

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 137 2025年5月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉 真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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