季節の花と緑を贈る、12か月の歳時記。

アマリリス、ユーカリ…。平井かずみさんが選ぶ、12月の贈り花。December 01, 2024

ホリデーシーズンを盛り上げる、 幸福をもたらす花を知る。

いよいよ年末のホリデーシーズンの始まり。雪が本格的に降り積もり、家にいる時間が長くなって、家族や友人との交流が深まってくる。1年間の感謝や慰労の意味も込めて、プレゼントを贈り合う機会も増える。幸せな気持ちになれる花を覚えておくと、素敵な締めくくりになるはずだ。

 


アマリリス
Hippeastrum

Consolida ajacis
クリスマスカラーの赤色でお祝い気分。
科名/ヒガンバナ 原産地/南アメリカ。太くまっすぐな茎の上に直径10〜20㎝ほどの艶やかな花を咲かせるネイティブフラワー。ギリシャ語で“輝かしい”という意味を持つ。ただし、茎の中は空洞で折れやすいので注意したい。原種には約90種類、園芸種としては数百の品種が生まれている。この時季のおすすめのひとつは、深紅のフェラーリ。「真っ赤な花を差し上げると、クリスマス気分が盛り上がります。1本でも絵になりますが、3本、5本と本数を重ねると、豪華なプレゼントになります」
 


ユーカリ ポポラス
Eucalyptus polyanthemos

Consolida ajacis
常緑の枝もので、永遠の生命を願う。
科名/フトモモ 原産地/オーストラリア。コアラが食べることでも有名なユーカリの一種。シルバーカラーでハート形や丸形の葉が特徴的。抗菌作用や抗炎症作用があり、もむと爽やかな香りが漂う。「ユーカリやモミの木など、ホリデーシーズンになると、永遠の命を象徴するものとして、常緑の枝ものをよく贈ります。クリスマスカラーには意味があり、赤は愛、緑は永遠の生命、白は純潔なのだそう。あなたが末永く健やかであることを祈っています、という思いを込めて差し上げたいです」
 


シンフォリカルポス
Symphoricarpos orbiculatus

Consolida ajacis
真珠のような実が、心を静める。
科名/スイカズラ 原産地/北アメリカ。小さな花が終わると、房状のパールのような白やピンクの実をつける。大きさは1㎝程度。クリスマスのオーナメントに使われることもある。「小さな実を眺めていると慌ただしいなかでも心静かになります。年末は、その年の集大成のとき。実ものには、結実という意味も込められます。また、忙しくて後回しになっていた出産などのお祝いを改めて花に託して伝えたり。一年の終わりに、ありがとうやおめでとうの気持ちを贈り合うって、素敵な習慣だと思います」
 


フランネルフラワー
Actinotus helianthi

Consolida ajacis
産毛のある葉や花びらが、毛布のような手触り。
科名/セリ 原産地/オーストラリア。花びらや葉っぱ、茎が白い産毛に覆われて、フランネルのような肌触りから、この名前に。見ているだけでも温かさが伝わってくるようで、寒い時季にあるとほっとできる。白い花びらのように見えるのは苞葉。先には緑色の模様が入り、つぶさに観察しても飽きない。「本来はもう少し早めの花ではあるのですが、起毛したような質感がこの季節に似合うと思って。触るとふわふわしているのと、穏やかな佇まいがあいまって、イノセントな気持ちになります」
 


ヤドリギ
Viscum album

Consolida ajacis
クリスマスになると飾られる、神聖な木。
科名/ヤドリギ 原産地/ヨーロッパ、日本。常緑樹でブナやケヤキ、コナラといった落葉広葉樹に半寄生し、宿った樹の枝先に鳥の巣のような茂みを作る。ヨーロッパでは聖なる木のシンボルであり、クリスマスになると玄関に飾る風習がある。祝福をもたらす木なので、贈り物としても最適。「クリスマスプレゼントに添えて、一枝だけお渡しするのもいいと思います。この木の下でキスしたカップルは結ばれるというロマンチックな伝説も。ひと手間かけてリースやスワッグにしてもいいですね」

平井かずみ Kazumi Hiraiフラワースタイリスト

草花が身近に感じられる、暮らしに根付いた日常花を提案。東京・恵比寿のアトリエ「皓SIROI」を拠点に、日本全国で花の教室をはじめとしたワークショップや展示を開催。著書に『あなたの暮らしに似合う花』『花のしつらい、暮らしの景色』(ともに扶桑社)など。

illustration : Shinji Abe (karera) edit & text : Wakako Miyake
参考文献:『花屋さんで人気の469種 決定版 花図鑑』(西東社)、『花の名前、品種、花色でみつける 切り花図鑑』(山と溪谷社)

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