Good for Me 編集部が出合ったベターライフ。

Singin’ in the Rain/MUSIC FOR BETTER LIFE #7 June 2025June 04, 2025

Good for Me 編集部が出合ったベターライフ。Singin' in the Rain/MUSIC FOR BETTER LIFE #7 June 2025

雨の日の街には色がある。

ぼちぼち梅雨ですね。鎌倉では紫陽花が咲き始めて、名所では早くも見物客をちらほら見かけます。山桜に藤、次に新緑が光ったと思ったら紫陽花と、美しい風景には事欠かない古都での暮らしです。最寄駅は北鎌倉なので、通勤時には必ず円覚寺の敷地を通ります。白鷺池のある庭園は毎日のように庭師が手入れをしていて、季節をつぶさに感じられる、贅沢な通勤路です。

北鎌倉から大船、戸塚と上り電車は進み、横浜からはぐっと街の密度が増して、多摩川を渡れば本格的に窓からの景色が灰色に近づいていきます。降車駅の新橋で、深い深い地下のホームから地上へ上がっても、緑はおろか、空でさえほとんど見えません。しかし雨の日は、道路やビルが濡れて色鮮やかになり、灰色だと思っていた風景に色があったことを思い出します。おおよそ雨の日の街は不快指数が高くてつらいものですが、そんなことで少し好きだったりもします。今月は、雨の日に聴きたいしっとりしたヴォーカル曲を集めました。

1曲目は、先日『コットンクラブ』で来日公演を行ったばかりのMichael Mayoの昨年のアルバムから。基本的には落ち着いたトーンで進行しながら、合間合間に聴こえる自由自在な歌声に惚れ惚れします。

2曲目は名プロデューサーとして名を轟かせているTerrace Martinの新作から。ヴォーカリストのOgiを迎え、厚みのある声にしんみり浸りたくなります。

3月のプレイリストにも選曲した「Distance」を聴いてからというものリリースを心待ちにしていた、ロンドンをベースに活動するSSW・Frenchieの新作アルバム。期待通りのメロウミュージック揃いで、特に気に入っている「Searching」を3曲目にセレクトしています。

6曲目でセレクトした陳嫺靜は’98年台北生まれのSSWでラッパー。3月にリリースされた新作ではその音楽性の広さが印象的でした。

8曲目はこのプレイリストでも何度かセレクトしてきたJoho RoseboroとMei Semonesが、デュエットでカバーした「Waters of March(3月の水)」。ジョビンの名作を親密に歌い上げています。

13曲目は最近注目を集める韓国のピアニスト、Jeon Jin Heeの一曲。最新リリースの「Breathing Ⅱ」もそうですが、基本的にはピアノのインスト曲を発表している彼女。しかし2023年にリリースしたヴォーカルアルバム「Without Anyone Knowing」で披露された囁くような歌声が個人的にはとても気に入っていて、一曲選んでみました。

来月は特集制作でてんてこ舞いになりそうなので、また助っ人をお願いしようと思っています。お楽しみに!


編集部員によるリレー連載「Good for Me. 編集部が出合ったベターライフ」。ファッションや日用品、おいしいおやつ、旅先で見つけたもの…など、時には極めて私的な視点でお届けする編集部員のオススメはこちらから。


Editor 松﨑 彬人

松﨑彬人
2017年に新卒で入社し、&Premium編集部一筋。レコード収集と陶芸家のスタジオ巡り、車の手入れ(1989年式VWジェッタ)が休日の楽しみ。熊本県出身、現在は妻子と鎌倉で暮らしながら、Instagram「#僕らの家ができるまで」で家造りの様子を記録しています。最新の担当号は2025年6月号「新しい暮らしに出合える、店ともの」。

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