Good for Me 編集部が出合ったベターライフ。
26歳編集者のベターライフを探す旅 / 新たな出合いあふれる東京アートブックフェア。#1December 03, 2024
編集部員が見つけた「ベターライフ=より良き日々」に役立つモノやコトを紹介する連載が始まりました。ファッションや日用品、おいしいおやつ、旅先で見つけたもの…など、リレー形式でお届けしていきます。
何も持っていないようで、実は豊かなモノに囲まれている。
この連載が始まると聞いて、何を紹介しようかとずっと考えていたのです。
特別に良いモノを持っているわけでもなく、おいしいご飯を食べに行ったり各地へ旅をしているわけでもない私が紹介できるトピックがあるのだろうか? そう考えていた時に気づいたのが、自分の生活において大切なキーワードである「ヒト」との関わりのこと。
今年の秋に転職をして働く場所も住む場所も変わりました。日々さまざまな方と出合い、世の中の素敵なことを教えてくれる周りの「ヒト」たちは私にとって先生のような存在。友だちや先輩、家族など誰かとの関わりの中で生まれた発見をこの連載で紹介していけたらと思っています。
ただ、そう思いながらも日々の生活に追われ、友だちとゆっくり話す時間をうまく作ることができていないのが現状。日常で見つけた思わず笑ってしまうようなおもしろい発見を、もっと気軽に共有できる場所があったらいいのに。そんな悩みを、グラフィックデザイナーの岡本太玖斗さんと話したことがきっかけで、二人のラジオ『悪い話(※実際の内容はポジティブなものです)』が始まりました。
このラジオと連動して、語り尽くせなかった内容や出演してくれたゲストの方について“SideB”的に本記事でお話していきます。今回は『悪い話 #1』から、11月28日(木)から12月1日(日)まで開催されていた東京アートブックフェア(TABF)で私が購入したブックをいくつか紹介します。
新たな出合いあふれる東京アートブックフェア。
最終日のギリギリの時間に駆け込むほどの余裕のなさはさておき、今年も収穫だらけの1日でした。
今年のゲストカントリーはドイツだったこともあり、会場に着いてすぐに向かったのはドイツとスイスの出版社『Edition Taube』のブース。彼らのSNSを見て以前から気になっていた『Und im Sommer tu ich malen』を早速見つけ、嬉しさのあまり主宰の方と握手してしまいました。
アーティストのHank Schmidt in der Beek(ハンク・シュミット・イン・デア・ビーク)の絵画作品と、写真家のFabian Schubert(ファビアン・シューベルト)がヨーロッパ各地で撮影した風景の写真が見開きで収められています。二人はゴッホやモネなど巨匠たちが実際に絵を描いた場所を訪れているのですが、ハンクが描いているのはその場所の風景ではなく、自身が着用しているシャツの模様。「いやいや、そこまで行ったのに?」と思わず言いたくなってしまいますが、そのプロセス自体が作品の一部なのだと思います。ハンクが描いた絵画がカバーのデザインにもなっていて、隅から隅まで楽しむことができます。
他にも『書店で万引きをする方法』など、ユニークなブックを作りつづける彼らにこれからも注目したいです(ちなみに日本語版は初日で完売したそうです)。
写真家・河野幸人さんがディストリビューションを行う『IACK』でも素敵な出合いがありました。それが『INCOMPLETE ENCYCLOPEDIA OF TOUCH』。直訳すると「未完成のタッチ百科事典」と不気味な名前ですが、作者の知人家族が保管している15,000冊以上のアルバムから「ヒト」があらゆるものに手を置いている写真を集め、図鑑のようにまとめた1冊。動物や木、車、冷蔵庫、墓など、人が写真を撮られるときに近くにある"物体"に触れてしまうのはなぜなのか。それらとのつながりを示すため? そんな問いを投げかけてくる興味深い本です。
そのあとも、拙い英語を駆使しながらさまざまなブースを巡り、気づいたらPayPayのチャージ残高が0円になるほどたくさんの本との出合いに恵まれました。国内外のアーティストや出版社の方に直接話を聞きながら、彼らの本を購入できる機会は何物にも代えがたく、早くも来年のTABFに向けて貯金を始めようと思います。
*岡本さんがコクヨのプリンティングレーベル『COPY CORNER』と一緒に制作したポスターもTABFで販売していました。気になる方はこちらから。
本連載は月に1回ほど、ラジオ『悪い話』は気まぐれで更新予定です。
私的な連載になりますが、どうぞよろしくお願いします。
『悪い話 #1:TABF2024で乙辺が買ったもの、記念写真ポーズの話』