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山笠があるけん博多たい。福岡最大の祭り「博多祇園山笠」。私の好きな福岡:4 写真と文:Yuki Matsuo (「All-You-Can-Eat Press」主宰) #4June 23, 2025
6月に入ると、博多はそわそわしはじめる。
町で長法被姿の男衆をちらほら見かけるようになり、あちこちで飾り山の社が建ち始める。
そう、今年も「博多祇園山笠」の季節がやってくる!


山笠は、約770年の歴史を持つ櫛田神社に奉納される神事で、毎年7月1日から15日まで続く福岡最大の祭りだ。
「流(ながれ)」と呼ばれるチームごとに山笠を担いで、博多の町を駆け抜ける。
意外なことに山笠を見たことのない福岡県人は多い。というのも、山笠は博多区のお祭りなのでそれ以外の区域の人はちょっぴりアウェイなのだ。
福岡に暮らすようになってまもない私は、半分旅人のようなもの。乗っかったもん勝ち! と言うことで山笠の2週間をはりきって楽しむ。
7月1日になると、「飾り山」と呼ばれる全長10〜15メートルもある鑑賞用の豪華な山笠が、市内の13ヶ所にお披露目される。
山笠は、山大工と博多人形師たちによって作られる伝統工芸品だ。
山笠が走るコースも、本番に向けて着々と準備が始まる。
特に細い路地は、山笠が勢い余ってぶつかって破損してしまわないように、郵便ポストや掲示板、標識なども藁のマットでカバーされ、祭り仕様になる。
山笠を担ぐ道具のひとつ、「舁き縄(かきなわ)」がかけられた玄関先。町のいたるところで祭りの気配を感じる。
7月12日の日中に行われる「追い山笠馴らし(おいやまならし)」は本番さながらのリハーサル。
「流」によって柄の異なる長法被や、それぞれの「流」を背負った水法被を着た男衆が櫛田神社に勢揃いする。特に年配の男衆の着こなしの粋なことと言ったら!
7月15日がいよいよ本番。
まだ薄暗い4時59分に「追い山」が櫛田神社をスタート、博多の町へと勢いよく走り出す。「おいさー」の掛け声と水飛沫が飛び交い、町の温度がぐっとあがる。
一度日本を離れたからこそ、新鮮に映るようになった日本のカルチャー。
これからも旅人の目線とフットワークで、福岡の町をもっともっと歩きまわりたいと思う。

「All-You-Can-Eat Press」主宰 Yuki Matsuo
