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「いつか使いこなしたい、憧れのもの」について語る茶会。写真と文:witchi tai to #2July 09, 2025
#1に続き、今回も高原家の喫茶室にてお茶会中。

葉田:あ~、落ち着く甘さのお茶だね。温かさで湿気が払われていくような不思議な味わいがする。
高原:台湾の野生の烏龍茶だよ。烏龍茶と紅茶の間のような、熟した果実みたいな甘さがあるよね。
よしい:これもぽーっとする(ゴクゴク)。あっ、松元さん、持ってきてくれたんだね。
松元:そうそう、「いつか使いこなせたら」っていう憧れのものを持ってきたんだ。(大きな風呂敷解く)

葉田・よしい・高原:大物がきたね~!
松元:よしっお節作るぞ! って意気込んで手に入れた赤木明登さんの面取姫重っていうお重なんだけど、まだ棚の高いところでくすぶっていて……。せっかくだから日常使いできたらいいなって思って。
よしい:ちらし寿司とか唐揚げとか入れたりしてね。
葉田:お菓子を入れてもよさそうよね。
松元:次にこうして茶話する時に、ぜひ役立ててほしい~!
高原:そうしよう。ちなみにわたしは赤木さんのもとにいらした土田和茂さんのお重を愛用しているんだけど、食べ物を入れるだけじゃなくて、お花を飾る台としても使っているよ。漆器って空気を締めてくれつつ、その場所に懐深くなじむから。あっ、よしいさんも素敵なものを持ってきてくれたのね。

よしい:わたしはね、アンティークのシルクブラウスを持ってきた。多分、ヴィクトリアンとかエドワーディアンの時代のものだと思うけど、とにかく繊細で、1回着ると脇がびりびりになったりするの(笑)。
葉田:バタバタと育児していると、デリケートなものを着る余裕もなかなかないよね。
よしい:そうなんだよね。「witchi tai to」で作った作品集『Admire』にも寄稿してくださったアーティストの安岡友美子さんいらっしゃるでしょ? 安岡さんのお母さんが「扱いが難しいものほど心がけて手間をかけないと美しく身につけられないし、余裕や相応しい所作が求められる」っておっしゃってたと、安岡さんのSNSに書いてあって。本当にそうだよね〜と思って。私もいつか暮らしに余裕が出て、自分の内側からこのブラウスを着るにふさわしいと思える時が来たら、着たいなって憧れている。
葉田:時間や気持ちに余裕ができたらって憧れる洋服ってあるよね。私は30代に一度着物にハマって、オークションなんかにも手を出して買い漁った時期もあったけど、今は生活的にちょっと難しいなと思ってる。身に着けるものとして年齢的にふさわしいかという視点で見ると、あの頃買ったものはもう違うかなって感じもあるし。でも改めてまたいつか着こなせるようになりたいって、その時が来るのが楽しみでもあるな〜。

松元:いつかの楽しみがあるっていいよね。私は、ものではないけれど、スイスとイタリアの国境にあるマッターホルンを臨みながらツェルマット(スイス南部にあるアルプス山脈の麓の町)でスキーをしたいっていう憧れもあるわ。子育てに伴って、どんどん生活がアウトドア派になっていっているんだけれど、それの極みかも! 年を重ねるごとに自然と触れ合いたい欲が増してきてる。(一同うなずく)
煎を重ねて烏龍茶を飲み飲み、さらに次回へと続きます!
ディレクションユニット witchi tai to
