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コミュニティバスで東京を旅する。 写真と文:キム・ジノン (東京茶飯事コンテンツディレクター) #3April 16, 2025

ソウルと東京での暮らしの違いは、ソウルではほとんど電車を使わず、東京では電車に乗ることだと思います。

車からの風景をゆっくり見れないのは少しつまらないと感じてしまうので普段はバスに乗りますが、それが東京ではなかなか実践できないのです。

その理由を二つくらいあげますと、「バスの路線がそんなに長くない」と「どの目的地でも5分以内で電車の最寄り駅のある便利さ」です。やむを得ず、東京では電車に乗るわけですが、実はバスに乗りたいというのが「東京生活の願望」でもあります。

ですので、今注目しているのは東京の各地域が運営しているコミュニティバスです。

コミュニティバスで東京を旅する。 写真と文:キム・ジノン (東京茶飯事コンテンツディレクター) #3 /『Bーぐる』
『Bーぐる』

海外でも知られている「ハチ公バス」(渋谷区)をはじめ、「ちぃばす」(港区)、「Bーぐる」(文京区)、「すぎ丸」(杉並区)、「IKEBUS」(豊島区)など、区ごとに運営しているコミュニティバスがあります。

だいたい、駅から駅までの路線で大通りから一本入った住宅街をぐるぐる回るようなルートで、主に高齢者の方が便利に移動できるような役目があるみたいです。それがこのバスの最大の長所なんです。

コミュニティバスで東京を旅する。 写真と文:キム・ジノン (東京茶飯事コンテンツディレクター) #3 /『ハチ公バス』
『ハチ公バス』
コミュニティバスで東京を旅する。 写真と文:キム・ジノン (東京茶飯事コンテンツディレクター) #3 /『ハチ公バス』
『ハチ公バス』

バスの中は、しーんとして静かですし、会話が合っても囁くくらいの音量です。

あと、ゆっくり走るので、車窓の外側に見えてくる風景の速度も日常の速度に比べると抑え気味なんです。仕事でバタバタしている時、たまにバスに乗って、風景を眺めながら、「生活のスピードってこれくらいがちょうどいいんじゃないかな」と改めて感じます。

コミュニティバスで東京を旅する。 写真と文:キム・ジノン (東京茶飯事コンテンツディレクター) #3 /『IKEBUS』
『IKEBUS』
コミュニティバスで東京を旅する。 写真と文:キム・ジノン (東京茶飯事コンテンツディレクター) #3 /『IKEBUS』
『IKEBUS』

いつかは好きな路線の各コミュニティバスに乗って、観光地や都心、繁華街ではなく、普通の東京の町を紹介するものを書いてみたいと思います。

今の心の中にある候補は、「ハチ公バス」の「神宮の杜(もり)ルート」(神宮前〜千駄ヶ谷〜表参道〜明治神宮前〜渋谷)、「ちぃばす」の「赤坂ルート」(赤坂〜溜池山王〜青山一丁目〜六本木)、「すぎ丸」の「かえで路線」(西荻窪〜久我山)があります。

うーん、何から始めようかな…。

edit : Sayuri Otobe


東京茶飯事(TOKYO DABANSA) コンテンツディレクター キム・ジノン

1979年韓国・ソウル生まれ。東京の町、人、文化を独特な感覚で韓国人に紹介するユニット「東京茶飯事」のコンテンツ担当。ソウルと東京の架け橋のような感覚で様々なプロジェクトを行っている。東京とソウルのカルチャーを紹介する記事を両国の雑誌へ寄稿、東京の文化やライフスタイルのインフルエンサーを招いてイベントの開催、その他の執筆、翻訳、選曲活動を行う。著書に『東京のライフスタイルの企画者たち』(韓国、Comm In社)、『Tokyo Diggin’』(韓国、NOVVAVE社) 、『STREET TOKYO - 東京散歩ノート』(韓国、design eum社)などがある。

instagram.com/tokyodabansa

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