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オーストリア・ウィーン生まれのパンケーキ、「カイザーシュマーレン」。世界のお菓子と、そのレシピ vol.4。写真と文:鶴⾒昂 (パティシエ) #4June 25, 2025

オーストリアのウィーンで朝食を探していると、老舗菓子店の軒先で、職人がパンケーキを焼いているのが目に留まった。

メレンゲをたっぷりと含ませたふわふわの生地を器用にひっくり返し、おいしそうな焼き色のパンケーキができあがっていく。

オーストリア・ウィーン生まれのパンケーキ、「カイザーシュマーレン」。世界のお菓子と、そのレシピ vol.4。写真と文:鶴⾒昂 (パティシエ) #4

その手際の良さに見惚れていたのも束の間。

職人は突然、まるで癇癪を起こしたかのようにヘラでパンケーキをバラバラに切り崩してしまった。

「え、どうしたん? 話聞こうか?」と、職人の情緒が心配になったが、崩れたパンケーキに溶かしバターと砂糖がまぶされていくと、不思議とそれがとてもおいしそうに見えてきた。

思わず店に入り、ひとつ注文すると、崩れたパンケーキは恭しく皿に盛られ、温かいプルーンジャムが添えられていた。

オーストリア・ウィーン生まれのパンケーキ、「カイザーシュマーレン」。世界のお菓子と、そのレシピ vol.4。写真と文:鶴⾒昂 (パティシエ) #4

世界には、まだまだ知らないお菓子がたくさんあるんだなぁ。カリカリ、ふわふわ、ジュワジュワ、と色んな食感が次々に訪れる「カイザーシュマーレン」という名のパンケーキを夢中になってお腹に収めた。

〜ウィーンで出合った、カイザーシュマーレンのレシピ〜


    〈材料〉

    レーズン…15g
    ラム酒…5g

    【A】
    卵⻩…2個分(40g)
    薄⼒粉…80g
    塩…ひとつまみ
    バニラパウダー…ひとつまみ
    ⽜乳…135g
    レモンゼスト…1/4個分

    【B】
    卵⽩…2個分(70g)
    グラニュー糖…30g

    無塩バター…15g(フライパン⽤)
    グラニュー糖…10g(仕上げ⽤)
    無塩バター…10g(仕上げ⽤)
    粉糖…適量
    プルーンジャム…適量
    〈作り方〉

    1)レーズンとラム酒を合わせて、⼀晩漬けておく。

    2)ボウルにAの材料を⼊れ、ホイッパーでよく混ぜ合わせる。

    3)別のボウルにBの材料を⼊れてハンドミキサーの⾼速で固く泡⽴てる。

    4)1に2のメレンゲを加えてホイッパーでふんわりと混ぜ合わせる。

    5)フライパンを中⽕にかけてバター30gを溶かし、⽣地を流し⼊れる。

    6)底⾯に焼き⾊がついたら⼗字に切り⽬を⼊れて1/4ずつひっくり返し、⽣地をまとめながら裏⾯にも焼き⾊をつける。

    7)ヘラで⼀⼝⼤にカットし、焼き⾜りない部分に⽕を⼊れる。

    8)全体に1のラムレーズンを散らして⽣地をフライパンのふちに寄せる。

    9)フライパンの空いた⾯に仕上げ⽤のバターを溶かし、グラニュー糖を振りかける。グラニュー糖が溶けたら、フライパンをゆすって全体に絡め、こんがりと焼き上げる。

    10)⽫に盛り付けて粉糖をたっぷりと振り、プルーンジャムを添える。


パティシエ 鶴⾒ 昂

鶴⾒昂
つるみ・たかし/都内で菓⼦教室『ツルミ製菓』を主宰するほか、『TEATON』、『POPPY』、『ひやかし IPPODO TEA』などでメニューのプロデュースも⼿がける。

instagram.com/hepopec

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