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ふわふわと、ごろごろ。2種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋のレシピ。写真と文:原田アンナベル聖子 (『KOMB』シェフ&オーナー)January 05, 2026

ふわふわと、ごろごろ。2種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋のレシピ。写真と文:原田アンナベル聖子 (『KOMB』シェフ&オーナー)

冬の野菜、大根。

大根は一年を通して手に取りやすい野菜だが、冬にいちばんおいしくなる。

寒くなるにつれ、甘みを増し、水分をたっぷりと蓄えていく。ハリが出て、みずみずしくなる。 まるで、冬を越す準備をしているかのよう。

そんな大根を、この季節こそ、たっぷりと使いたい。

ここで、大根にまつわる思い出を話してから鍋の紹介をしようと思う。

私が懐石料理店で修行していた頃、 お造りや和え物用に、毎日大量の大根をおろしていた。 なかなか根気のいる作業だった。

当時、先輩から「繊維を断つように、円を描くようにおろすんだよ」 と指示されたことがある。「角を潰すイメージでおろした方が、ずっと効率よく早いじゃん! 」、そう思った私は、きっと腑に落ちない顔をしていたのだろう。すると先輩は、 「ふわふわの大根おろしを目指そう」 と教えてくれた。

半信半疑だったが、言われた通りにやってみると、 空気をたっぷり含んだ、ふわっふわの大根おろしができた。 それは、今までなんとなく作っていたものとは、まったく違うものだった。

料理は、大根おろしひとつを取っても、
ほんの少しの工夫で、こんなにも違うものができあがる。

そのことを体感した出来事だった。

以来、ふわっふわの大根おろしを作ることを目指している。名付けて「雪おろし」。

ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。

今回紹介するのは、 二種類の大根おろしと、酒粕を使ったひと鍋。 きめ細かいふわっふわな雪おろしと、 ごろごろ食感が楽しい鬼おろし。 口当たりの違う大根おろしを二種類用意するのが、この鍋の面白さ。 大根の甘みが、だしにたっぷりと加わり、寒い時季に体を芯から温める。

ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。
ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。

雪おろしを作るコツは、まず大根をおろし金に直角に当てること。

大根の繊維は、まっすぐ縦に走っているので、その繊維を横方向に丁寧に断ち切っていくイメージで。 そのうえで、円を描くようにおろす。空気を含ませることができるので、エアリーな食感になる。

大根は少し長めに切り、さらに縦半分や4等分に切ると、握りやすい。そうすることで、軽い力でもすりおろしやすくなる。

道具は、目の細かいおろし金を使いたい。よりきめ細かくおろせるので、口当たりの柔らかさが格段に変わる。

ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。

一方、鬼おろしは、 写真のような鬼おろし用のおろし器で、ガリガリと大根を削る。 不揃いな粒になることが狙い。

酒粕は、なるべく、すっと軽い味わいのものを選びたい。 寒くなると、体に取り入れたい食材のひとつでもある。 酒蔵が近くにある方は、酒粕を求めて蔵を訪ねるのも一興。

私が営む『KOMB』では、日頃からお世話になっている酒蔵から酒粕を取り寄せ、料理に使っている。今回選んだのは、「手取川」をはじめ、澄んだ味わいの日本酒を造る石川県にある吉田蔵の酒粕だ。酒蔵ごとに酒の個性が異なるように、酒粕もまた、風味やコクにそれぞれ違いがある。

汁物に使ったり、いくらの酒粕和えにしたり、魚を漬けて焼いたり。『KOMB』では、料理に合わせて酒粕を使い分けている。

まずは、自分が「あっ、おいしい」と自然に感じる酒粕を1つ、見つけてみよう。

この鍋では、 おろし方を変えるだけで、大根がまったく別物になることを、楽しんでみてほしい。

きめ細かくおろしたものは、舌の上ですっとほどけ、粗くおろしたものは、噛むほどにみずみずしさが広がる。

同じ大根おろしとは思えない、口当たりのコントラスト。

その対比が、この鍋のいちばんの魅力だ。レシピはこちら。

recipe
2種類の大根おろしと酒粕の鍋

ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。

【材料(3人前)】
・雪おろし… 200g
・鬼おろし…100g
※雪おろしのほうが多いのがポイント

・セリなどの青菜
・豚しゃぶ肉…お好みの量
・鰹・昆布だし…2L
・酒粕…30〜40g
・薄口醤油…大さじ1
・塩…2つまみ
・鍋用ぽん酢
・柚子胡椒、柚子七味

二種類の大根おろしを、先ほどの要領でおろす。 葉元の、甘みのある部分は、雪おろしに使う。 大根の汁が、鍋のだしに深みを加えてくれる。 ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。 | ①二種類の大根おろしを、先ほどの要領でおろす。 葉元の、甘みのある部分は、雪おろしに使う。 大根の汁が、鍋のだしに深みを加えてくれる。
①二種類の大根おろしを、先ほどの要領でおろす。 葉元の、甘みのある部分は、雪おろしに使う。 大根の汁が、鍋のだしに深みを加えてくれる。
セリの元を切り落とし、葉と根を分けて洗う (根が綺麗であれば根も使う) 。 ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。 | ②セリの元を切り落とし、葉と根を分けて洗う(根が綺麗であれば根も使う)。
②セリの元を切り落とし、葉と根を分けて洗う(根が綺麗であれば根も使う)。
葉は4cmほどに切り、 豚しゃぶ肉と一緒に皿に盛る。 ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。 | ③葉は4cmほどに切り、 豚しゃぶ肉と一緒に皿に盛る。
③葉は4cmほどに切り、 豚しゃぶ肉と一緒に皿に盛る。
ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。 | ④鍋にだしと2種類の大根おろしを入れて火にかける。 温まってきたら、酒粕を味噌を溶くような感覚で加える。 薄口醤油と塩で味を整えれば、鍋のベースが完成。
④鍋にだしと2種類の大根おろしを入れて火にかける。 温まってきたら、酒粕を味噌を溶くような感覚で加える。 薄口醤油と塩で味を整えれば、鍋のベースが完成。
ふわふわと、ごろごろ。二種類の大根おろしで楽しむ酒粕鍋。 | ⑤好みでしゃぶしゃぶしながら、薬味を添えつつ、鍋を楽しむ。
⑤好みでしゃぶしゃぶしながら、薬味を添えつつ、鍋を楽しむ。

和食レストラン兼アトリエ『KOMB』 シェフ&オーナー 原田アンナベル聖子

原田アンナベル聖子
はらだ・あんなべる・せいこ/2022年、東京・神楽坂に和食レストラン兼アトリエ『KOMB』を起業。「四季の移ろいを大切にする」というブランドコンセプトを体現すべく、多岐に事業を手がけている。自身が料理人として厨房に立つ傍ら、料理教室や瓶詰めの自社EC事業、ファッションブランドのケータリングプロデュースなど行う。

komb.jp

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